黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

古森義久氏、理解の範囲が及ばず。

古森義久氏、中国を理解できず。

北京がみせたエイリアンのヨロイ――中国とはなにか(4)- ステージ風発、:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/601867

 また中国を化物扱いしています*1。「SFってのは『絵』だねェ」というのは先に亡くなった野田昌宏氏の名フレーズですが*2、映画『エイリアン』のデザインによってSFビジュアルに革命を起こしたH・R・ギーガー氏も、こんな言及のされ方は不愉快でしょうね。
 さて(4)です。今回の写真の使い方は珍しくまともですね。ロンドン他の聖火リレーの話題が前回からの続きになっているので、冒頭にロンドンでの写真を入れるのはいいアイディアです。あいかわらずfreetibet.orgからの無断使用くさい直リンですが。
 古森氏はこの映像を見て、この問題は「聖火リレー問題」や「チベット問題」ではなく、中国の本質に関わる「中国問題」なのだ、と強烈に覚醒したそうです。なんかカルトにはまったか、やばいクスリでもやってんじゃないのかと、ちょっと心配しました。
 ここでもまた古森氏は、「エイリアン」に「異邦人」という訳語を添えて言い逃れの用意をしていますが、日本や米国から見て中国人が異邦人なのは当たり前です。「その普通の人間がすべてエイリアン(異邦人)に変身したとはいえないにしても」というフレーズは、あきらかに「エイリアン」を化物の意味で使っていますよね。


 って、このエントリ書いたところで見たらもう(5)が上がってんの。ほんとに更新強化月間のようですね。

古森義久氏、保守派を理解できず。

 別の記事も出ているので、取り上げておきます。

「米国社会、保守派はリベラル派よりも幸福」 米学者調査 (1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080607/amr0806071835013-n1.htm

 簡単に言うと、この調査をしたフーバー研究所のピーター・シュワイツァー氏もアレですが、古森氏はそれに輪をかけています。保守派が現状に満足していたり実力主義を信奉しているんじゃなくて、現状に満足しているから保守派なのです。「保守」って言葉の意味を、もしかしたら古森氏は忘れているんじゃないでしょうか。やっぱりあいかわらず「リムボウ氏」を強調していますねえ。


 この記事に関してvanacoralさんのblogで*3、「そもそもこもりんがサブプライム問題に代表される米国の貧困問題に言及したのを見たことがないのだが」と指摘していますが、間接的にならば米国の貧困問題に言及した例はありますよ。たとえば、これはサブプライム問題が起きる前ですが、2005年の「SAFETY JAPAN」第6回です。

ハリケーン被災であらわになった米国の人種問題 / SAFETY JAPAN [古森 義久氏] / 日経BP
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/i/06/index1.html

 あの有名な「それにしても略奪者は100パーセント黒人なのである」というフレーズの初出記事ですね。ここで古森氏は、大手マスコミにあった「黒人層が略奪に追い込まれたのは貧困と抑圧が根本的な原因だ」という指摘に対して、ラッシュ・リムボウ氏(また登場です)の意見を引いて、「生活保護などに依存する人々は略奪に抵抗がないのだ」という珍説をもって結論にしています。
 このコラムから3年近く経って、今回の記事でも「貧困は自己責任」という論を振りかざしているのですから、直接同情的に貧困層に言及するはずはありませんけどね。

*1:前回は http://d.hatena.ne.jp/pr3/20080504/1209908853 、同じテーマの焼き直しですが。

*2:この言葉を知らしめたことだけでも、野田氏が現在のSFひいてはサブカルチャーに与えた影響は記憶されるべきだと思います。

*3: http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20080608