産経「正論」、本領発揮する。
実に実に、まったくもって見事なほどに産経「正論」欄なので、嬉しくなってしまいました。
【正論】大原康男 再論「靖国」 アンフェアな製作手法も露呈 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/139840/
事実のすり替えと歪曲のオンパレードです。
稲田朋美議員の言い分を全面的に取り入れ、議員による国政調査権という、日本の法体系にない概念を持ちだしています。国政調査権は両院の意志(実際には委員会決議)に基づいて行使されるもので、議員の一人一人や任意団体にそんな権限がないことがすでに指摘され、稲田議員もとっくにこの主張を言わなくなっています。
有村治子議員が持ち出した「刀匠は出演を認めていなかった」という話も、その後各メディアによる取材で違う発言が引き出され、少なくとも有村議員が国会質問で「○○さんの意志」*1として引用したのは、刀匠本人ではなくその妻の意志だった可能性が非常に強くなっています。刀匠本人もその妻も同姓の○○さんですから、嘘ではないにしても、「消防署の方から来ました」という詐欺と同レベルのテクニックを弄しているのです。大原氏自身、この節に続けて「事実がこの通りなら」と書いていて、有村議員の質問が事実ではない(と確定してしまう)可能性を考えて逃げを打っていますね。
最後に大原氏は、『靖国 YASUKUNI』上映中止を非難する人々に対して、映画『氷雪の門』上映中止事件を非難したのか、と詰め寄っています。メディア企業や団体には連続性があるかもしれませんが、35年前のわたしは子供だったしねえ。当時子供だったり、生まれていなかったりする人たちが、この問題に言及しちゃいけないんでしょうか。当時社会人として声を上げられる可能性があった人でも55歳前後、実際にはもっと上の世代の人たちの話だし、企業や団体を動かす人々も入れ替わっています。難癖としか言いようがありません。1942年生まれの大原氏にとって、1973年なんてついこの間なのかもしれませんけれど。*2