黙然日記(廃墟)

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産経「正論」、カルト化する。

【正論】「IT」と人間革命 西垣通  - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/137996/

 昨日付けの産経「正論」欄のタイトルを見たときは目を疑ったのですが、西垣氏は「潮」にもたまに登場しているようなので、実は隠れ信者だったのかなあ、などとのんきに考えておりました。しかし今日の「正論」欄も、同じタイトルです。

【正論】公文俊平 「IT」と人間革命 - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/138234/

 ていうか、間違って昨日のタイトルで記事が配信されたのかと確認してしまいましたよ。シリーズ企画ならそれらしく表記してほしいものです。
 このタイトルは「IT革命より人間の側が革命するべきだ」という主旨らしいですが、『人間革命』といえば普通は創価学会の経典*1を思い出すのではないでしょうか。西垣氏も公文氏も(隠れ信者ではないのなら)、疑問に思わなかったのかなあ。
 自公連立政権もいよいよ密着化が進み、自民党崇拝を続けてきた産経新聞もついに創価学会の宗旨を受け入れることになったのか、と考えてしまいます。否定する根拠がないしねえ。
 西垣氏の文章は(批判はできるものの)そんなにおかしなものではないのですが、公文氏のほうには少しツッコミ入れさせてもらいますね。


※以下しばらくレトロパソコンのヲタ話につき読み飛ばし推奨※
 公文氏の文章では、「パソコンのハードディスク一つをとってみても、30年前は20メガで30万円していたが、いまは200ギガが2万円以下になった。それを昔の価格で評価すると、30億円になる」という記述があるのですが、わけわかりません。価格.comによれば、現在2万円切ってるのは3.5インチ1TBです。2.5インチのことだとしても、200GBはとっくに1万円を下回っています。店やブランドによって200GBが2万円前後ということもあるかもしれませんが、なぜ2.5インチを基準にするのか意味不明です。いやその前に、30年前のパソコン用ハードディスク? 1978年といえば、Apple][が出た翌年(FDDのdisk IIが出た年)、PC-8001が出る前年です*2。1982年のPC-9801用HDDが5MBで定価40万円ほどでした。20MB HDDが登場したのはPC-9801M3のときですから1984年、ここから翌年にかけてなら、定価ベースで「20MBが30万円」と言ってもいいかもしれませんが、どう考えてもこれは23〜24年前の話です。30年前の20MB HDDならVAXかなんかミニコン用製品が存在していたかもしれません。正確な単体価格はちょっと調べようがないですが、まあ数百万円のオーダーでしょう。どうしても30年前のパソコン用ストレージと比較したいなら、80KBのdisk II(DOS3.3以前)がたしか40万円ほどしていたと記憶しているので(//eのころは当然もっと下がっていましたが、1978年の値段として)1byte単価が5円、1TBは5兆円という換算になるかと思います。……合ってるよね? あまりに物凄い数字が出て気が遠くなりかけています(もちろんFDDとHDDの価格をそのまま比べても意味ないんですが、FDが1枚1000円としても1250万枚で125億円ということになります)。
※ヲタ話終わり※


 このヲタ話の結論だけ言うと、どうやら公文氏は数字に弱い、もしくは調査力と記憶力に問題がある人のようです。
 それ以外でも、「産業社会から情報社会へ」なんてアルビン・トフラーの(それこそ30年前の)焼き直しだし、ケータイ小説を「新しい『大きな物語』」と絶賛しているのも、なんだかなあと思うところです。昼メロやレディコミで脈々と続いてきた古いタイプの物語が、新しいメディアで復活しただけだと思うのですが。
 まあそんな内容へのツッコミよりなにより、タイトルの衝撃が大きいんですけどね。

*1:「経典」と書いてしまっていいのかとも思うのですが、以前折伏を受けたときの経験で言えば、ほとんどエホバの証人にとっての『聖書』のように扱われていました。

*2:ここでしばらく遠くを見つめてしまったのはやむをえないでしょう。30年かあ……。