古森義久氏、“保守”の概念を示す。
保守とはなにか――「真・保守政策研究会」に招かれて - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/544359
招かれて、勉強会で講演してきたそうです。古森氏からなにかを“勉強"しようと考える研究会もいかがなものかと思うし、与党議院中心の会合にほいほい出かけていく自称ジャーナリストもどうかと思いますね。
エントリ中に、この勉強会に古森氏が招かれたことを報じる記事が引用されています。こんな話題をニュース扱いにする産経新聞もまたどうかと思うのですが(ある意味で重大なニュースではありますが)、「産経新聞インターネット版で報じられた」とあるのに、記事が見つかりません。いや、古森氏がリンクを張っていないのはいつものことなのですが、検索しても該当記事が出てこないのですね。で、どういうわけか、blogエントリの「真・保守政策研究会」「日米同盟」という部分が、記事へのリンクになっていました*1。産経の記事や古森氏のblogではいつも、間違い探しゲームや、脈絡のない文章を組み立てて意味を読み解くパズルゲームが楽しめるのですが、銀はがし(スクラッチ)ゲームまで楽しめるようになって、ますます幼児雑誌のとじこみふろく化してきましたね。
前置きはともかく、研究会と講演の内容について。ご承知かと思いますがこの真・保守政策研究会は、中川昭一会長*2・平沼赳夫最高顧問・衛藤晟一事務局長といった面々で、拉致議連なんかともだいたい重なっていますね。古森氏が平沼氏を非常に高く評価している*3ことも周知のとおりで、講師として呼ばれたのはそういうつながりがあるからでしょう。
古森氏は講演の要旨を4点に分けて紹介しているので、それをさらに要約しておきます。
- 米国は中国を相変わらず警戒している。
- 米国は中国を潜在敵国として研究している。
- その対中観をふまえて日米同盟が重視されている。
- こうした米国の取り組みを、日本の国会も見習うべきである。
- この研究会は保守とされるが、国際基準では保守でもなんでもない、当然だ。
ただし、これらの発言にはいちいち微妙にエクスキューズが混じっていて、(ブッシュ政権が)中国にソフトに対処しているのはやむをえない局面もあるからだ、とか、日米同盟が話題になることは確かに少ないが同盟解消を言う人は「皆無だといえる」、とか、なんというか。質疑応答の時間に「先生、それってお話の前提から破綻しているのでは?」と質問したくなるような内容ですね。
そして最後の項目、この真・保守政策研究会は、“保守”という言葉の意味がよくわかっていないようですし。古森氏も同レベルのようです。研究会の設立趣旨に「誇りを持てる国」「国益を守る」「伝統・文化を守る」が挙げられているそうで、古森氏はこれを、右も左もない当然のことだ、と強調したそうです。言葉どおりの意味ならまったくそのとおりで、右でも左でも、多少なりとまともな政治家であるならば、国益を考え誇れる国を作ろうとしない者はいません。ただ、彼らの批判する政治家が「こうすることが国益だ」と主張すると、彼らが「それは国益ではない、あの人は国益を無視している」といって攻撃するというだけの話です。「どうすることが国益なのか」を論じるのが政治というものであり、政治が間違った方向へ行ったときにブレーキをかけるのがジャーナリストの役割であって、ジャーナリストが一方的な“国益”を唱え、政治家がそれをふむふむと感心して聞いている姿は、一種の戯画だろうと思います。この戯画がなにを嗤っているのかは、また別に考える必要がありそうです。
*1: http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080411/stt0804111955002-n1.htm
*2:いわゆる中川(酒)氏。すぐ忘れるので個人用メモとして書いておきます。どっちもろくでもない、というイメージで脳内が固まっちゃっててね。
*3:「非常」と書いて「常に非ず」と訓じます。