黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、見せるのを嫌がる。

【主張】警察可視化導入 影響への検証も不可欠だ - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/135728

 自白偏重で閉鎖的な取り調べが冤罪を生む素地になっており、また裁判員制度の導入もあって、取り調べの様子を録画・録音することに、ようやく警察も同意することになったわけですが、産経新聞は懸念を呈しています。
 なぜ懸念するのかとか、そもそもなぜ今まで警察は取り調べの可視化を拒絶していたのかとか、普通に考えてわからないことだらけです。産経「主張」を読んでみても、警察の言として「『容疑者がかまえて円滑な取り調べができず、かえって真相の解明が遅れる』」、産経の主張として「容疑者からの自白が得にくくなるような事態を招けば、治安維持に重大な影響を及ぼす」とあるだけです。しかし、それでもともとなのであって、今までの自白率の高さ・有罪率99%という状態が異常だったとは思わないのでしょうか。
 録画があろうとなかろうと、取調室で発言したことがそのまま証拠として採用されるという原則は今と変わらないわけで、今と変わるとしたら、発言内容をそのまま記録しているはずの自白調書が発言と無関係な取調官の作文だった場合だけです。最近から過去の冤罪事件をさかのぼってみても、「調書の内容を認めないと家に帰れないぞ」と脅迫されて泣く泣くサインした、という証言が必ずのように出てきます。これを「円滑な取り調べ」というのなら、できなくなってありがたいと言うべきでしょう。
 可視化に抵抗を示す警察の態度そのものが警察への不信を招くわけですが、それにそのまま賛同する産経新聞は、いったい警察と国民、どちらの味方なのでしょうか。って、疑問文にする必要もないんですけどね。警察や行政、三権に対して国民の監視が必要なのだということ自体を理解していないようだし、その監視のために情報を提供するのがマスコミの使命だなどということは、なおさら思慮の外なのでしょう。