産経「正論」、朝日に対抗して似非科学を持ち上げる。
【正論】村上和雄 すべての命はつながっている - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/130727/
朝日新聞が2月22日の記事で、茨城県教育委員会が道徳のテキストに宗教的概念を取り上げている、と指摘しました(現在ネット上からは記事が消えています)。問題になった文章は村上氏が唱える「生命を創り出したサムシング・グレート」に関するもので、村上氏の別の著書では「サムシング・グレート=天理教の親神様」だと明言されているそうで、この記述に関する弁明はまだなされていないようです。
それから1ヶ月、村上氏が産経新聞「正論」欄に登場しました。当然のようにサムシング・グレートについて語り、「生き物の元の親」「偉大な親」と表現しています。
産経新聞とカルト似非科学*1の関係といえば、統一協会や一部キリスト教原理主義が持ち出したID論(インテリジェント・デザイン論)を肯定的に紹介したことが思い出されますが、サムシング・グレートとID論に直接は関係なさそうです。宗教もそれに伴う教義も違うのでまったく同じでないのはあたりまえですが(たとえば「インテリジェント」は積極的に生命や進化へ介入しているようなのに、サムシング・グレートは現象の名前でしかないとも思えるあたり)、似非科学によって宗教観を説明するあたり、ID論からなんらかの影響は受けているのではないかとも思えます。
もともと「神」という概念は、世界の不思議を理解しきれない人間が、説明のために考え出したものですから――少なくとも不可知論者のわたしはそう思っていますが――そういう意味では進化や生命現象は「神」の領域なのですが、すでに概念として固まっている(キリスト教や天理教の)「神」を肯定するために生命現象の不思議を持ち出すのは、やはり科学とは無縁の似非科学と呼ばれるべきでしょう。
生物学を調べていくと、奇跡としか考えられない現象がいくらでも見つかります。その奇跡の存在にまとめて名前を付けるとしたら、サムシング・グレート(なにか偉大なもの)としか呼びようがないのもたしかですが、サムシング・グレートの正体が「神」であると説明してしまうのは、本当に偉大なものを人間が理解できるレベルに矮小化する行為だとしか言いようがありません。