黙然日記(廃墟)

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古森義久氏と朝貢外交。

小沢一郎氏はなぜ媚中に変身したのか-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/424518

 小沢氏訪中を批判しています。批判の根拠が「週刊新潮」の記事のみというところでまず笑ってしまい、最初に引用された(批判的)コメントが屋山太郎氏のものというところで、爆笑してしまいました。見出しがこれで、結語が「一体なにが小沢一郎氏を変えたのか。その理由や原因についての考察はまた場を改めましょう。」になっているという予告編商法も、もう何度目かなあ。
 で、これは小沢訪中を「朝貢外交」と罵っている「週刊新潮」やその記事を鵜呑みにしているネトウヨ君たちになのですが、「朝貢」という概念をちゃんと理解しているのかなあ、と。もちろん、中華王朝を正統と認めた周辺国が貢ぎ物をすることなのですが、貢ぎ物を受けた中華文明はその数倍の金銀財宝を下賜することになっていたのですね。その負担があまりに大きいので何度も廃止が言われ、あるいは朝貢の回数を数年に一度に制限するようになっていた。逆に周辺国から見れば、朝貢貿易というのはたいへん利益が大きいので、朝貢の権利を争って戦争したり、朝貢を認められた政権が栄えたりということも無数に繰り返されていました。足利義満日明貿易のことなどは、日本史の授業でも必ずやったと思います。
 小沢氏の目指しているのが「朝貢」なら、これは貿易立国日本にとってたいへんメリットがあることになってしまうのですが、果たしてその辺は理解しているのでしょうか。相手の面子を立てておいて経済面の実利を取る、というのが、奇跡の成功を遂げてきた戦後日本のビジネスモデルです。もしかしたら「週刊新潮」は、遠回しに「民主党外交で日中貿易は大幅黒字にできるぞ」と唱えているのかもしれませんが(笑)。
 ただし、これは付記しておくべきことですが、古森氏はそのへんの事情を理解しているからなのか、小沢氏訪中を直接「朝貢」とは呼んでいません。そのかわり、日中の交流を盛んにすることが日本の利益になるという視点もないようで、このへんは相変わらずですね。