同人誌弾圧と報道。
えっ!都の施設でポルノコミックの即売会-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/93130
都立産業貿易センターが、同人誌イベントの開催を断ってきたというニュース。数日前からネットで騒動になっていた問題なので、このタイミングで記事を出したのは、読売が本日の夕刊に掲載した記事の後追いと考えていいでしょうね。
都施設でポルノ漫画即売会、過去6回開催 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071022i305.htm
とりあえず産経ウォッチを済ませておくと、「同館では、若い才能を発掘し、アマチュアに活躍の場を広げてもらおうと、同人誌イベントを年間40−50回開催」という記述があって都産貿がイベントを主導していたかのようですが、基本的には同人誌サークルが即売会を企画し、レンタルスペースとして都産貿を借りる形で運営されるものです。都の責任を求めるというミスリードなのかもしれませんが、事実関係はきちんと調べてから報道してほしいものです。
さて、困ったな、と。都産貿側の対応については別の問題として、ここでは報道について考えることにします。
とりあえず読売も産経も、即売会の存在そのものより都の対応を取り上げるかたちになっているのはまだマシなのですが、「同人誌=ポルノコミック」と世間に認識されるのがまず困ります。直接的な問題としても、都内で公営イベントスペースを借りられなくなると、アマチュアが自分の財布の範囲で運営する中小規模即売会は壊滅状態になりかねません。そして、コミックマーケット他ほとんどの大規模即売会が開かれる東京ビッグサイトも、ここで批判される都の外郭団体なのです。
強調しておきますが、同人誌の大半は性的な(18禁指定が必要なレベルの)ものではないし、自主的に18禁指定して頒布される同人誌も、コンビニや一般書店で同じく18禁として売られている雑誌とせいぜい同レベルです。ただ、マイナーなマーケットなので、一般流通には乗らないような性的マイノリティの表現を発露する場でもあります。それだけ世間から認知されがたい茨の道であることも、皆覚悟しているのですが。
そもそも、ネットでは(同人誌に関わるような掲示板などでは)騒ぎになっていたとはいえ、一般紙の記事として掲載するような話題なのだろうか、という疑問もあります。どうも、長年の迫害の歴史に思いが到り、マンガ表現がいじめられているという被害妄想的な考えが浮かんでしまうのですが。この秋、東京では「CoFesta JAPAN国際コンテンツフェスティバル」*1と称して、マンガと関わりの深いコンテンツ表現について国際的なイベントを開催中なわけですが、そのいちばん足元のところでなにが起きているか、東京都や報道関係者にそうした問題意識はあるのかというあたり、しっかり見ていきたいと思います。