黙然日記(廃墟)

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古森義久氏と山本秀也氏の対立と一致。

日米関係を無視したヒラリー候補の外交政策――中国こそ最重要だと強調-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/353184

 古森氏のblogで、Foreign Affairs誌電子版11-12月号に載ったヒラリー・クリントン氏のエッセイについてのエントリです。昨日、当blogで取り上げた*1山本秀也氏の記事と同じテーマですが、さすがに他記者の記事をまるごと引用はせず、自分の言葉で書いています。というか、山本氏が「クリントン氏は日本に1度しか言及していない」とか「共和党ジュリアーニ氏らはもっと日本を重視している」とか虚報を飛ばしているのに対して、古森氏の要約は(非常に珍しく)まともになっています。
 これはもしかしたら、山本記事に対する古森氏の批判なのでしょうか。同じ産経新聞ワシントン支局に属する編集特別委員と支局長という肩書きが、具体的にどんな力関係になっているのか不明なのですが、同じテーマを追求することもあれば時に対立しているように見えることもあって、ウォッチャーとしてはたいへん興味深いところです。


 それはそれとして、両氏の、あるいは産経新聞の論調としては、米民主党所属のクリントン氏による米中関係重視と日本軽視をたいへん憤っている点では一致しているようです。しかし、昨日述べたことの繰り返しになりますが、「重視」は「従属」ではありません。

米、ダライ・ラマに最高勲章-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/91808

 えらくあっさりしていますが、これも山本秀也氏の記事ですね。
 ダライ・ラマ師への賞賛が中国政府を怒らせることは言うまでもありませんが、この議会名誉黄金章を授与したのは、共和党ブッシュ政権ではなく民主党が主導する米国議会です。この記事にもペロシ下院議長の名前が出てくるし、朝日新聞の記事ではラントス下院外交委員長のスピーチも紹介されています*2従軍慰安婦問題決議の際に古森氏は、ペロシ氏やラントス氏が中国政府の手先として決議を推進しているかのように罵倒していたわけですが、いったいどうなっているのでしょうか。
 話を戻しますが、米中関係の「重視」は米国が中国に「従属」することを意味しません。たとえばですが、人権問題を軸にもっとも強い圧力を中国にかけることも、関係の「重視」には違いないということです。実際にクリントン氏のエッセイでも、中国の人権問題やチベット問題について強く言及されているわけです。
 二国間関係には是々非々を言い合う関係もあるのだということを、古森氏や山本氏はうまく理解できていないようです。彼らが想定し重視するべきと唱える「日米関係」が、「日本が米国に従属する」という一方的な関係にしか過ぎず、「言うべきことは言う」というまともな大人の関係を想像できないからなのでしょうか。