黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、ネット新聞戦争の生き残りを目指す。

新聞“ネット戦争”本番 自社記事配信、模索する各社-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/87776

 日経・朝日・読売三社連合のポータルサイト開設発表についての、谷口正晃記者による解説記事です。「大部数を抱える三社はしょせん紙媒体から離れられない、それに引き替えわが産経のMSN産経ニュースはネットに軸足を移している」という論調でまとめていますが、まあ微笑ましいと見ておきましょう。ところでこの記事、図版では「毎日+ヤフー」という構図にしていますが、今のところはまだ(Yahoo!の資本が入っている)allaboutと提携しているだけで、Yahoo!グループと明確に手を結んでいるわけでもないですよね。ちょっと強引かな、という気もします。
 記事には、無料サイトでペイできるのかという疑問が残っている、という指摘もあります。まあこれは、どこも結論が出てない問題ですからねえ。昨日のエントリでは「ネットでは産経は勝ち組」といったことを述べたのですが、収益モデルが見えていない市場で勝っていても、とりあえずはどうしようもないわけです。今のうちにシェアを握っておいて収益が出るようになったら圧勝、ということに賭けるしか、いずれにしろ方策はないのですが。


 ところで今日はこんな記事も出ていました。

英米主要紙、電子版を相次いで無料化へ-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/87784

 フィナンシャル・タイムズニューヨーク・タイムズが全面無料化し、大手で唯一有料サービスを残すウォールストリートジャーナルも無料化の波には逆らえまい、という、ロンドン支局木村正人記者による記事です。この「無料化」は、NYTでいうと過去20年分の記事をすべて無料で検索できるというレベルなのですが、日本ではちょっと考えられないところです。かつての毎日インタラクティブはすべての記事を残していたと思いますが、MSN産経インタラクティブになって保存期間が数ヶ月になり、毎日jpにリニューアルしたときもまたリセットされてしまいました。継続的に記事を蓄積してくれれば、10年分のアーカイブが残っていたはずなのですが……。今からでもアーカイブを復帰してくれないかな。
 日本の新聞、特に朝日は、縮刷版あるいはCD-ROMや有料オンライン検索の収益がかなりのものになっているのではないかと想像します。どんな小さな図書館でも朝日新聞(まれに読売・毎日)縮刷版は揃えられているので、それだけでも結構な額になるでしょう*1。この商売を手放せるかどうかが、英米紙なみの無料サイト展開をできるかのポイントだろうと思います。オンライン検索にいたってはほぼコストゼロで有料会員を(わずかでも)集められるのですから、やめることは難しいだろう……というか、NYTがなぜそこまで思い切った無料化をできたのか、そのへんの分析を知りたかったところです。
 縮刷版を出していない産経新聞はその点でもフットワークが軽いはずなのですが、過去記事の公開に不熱心なのは、なにか別の理由でもあるんでしょうかね。

*1:縮刷版1冊5800〜6000円で年間7万2千円近く、全国の公立図書館が約3000館ちょっとなので http://wwwsoc.nii.ac.jp/jla/statistics/2006pub.html 、ほぼ印刷費だけの原価で年間2億円以上の売上げを出していることになります。