黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

古森義久氏、あいまいな文章を引用する。

福田康夫氏は拉致問題をどう扱ってきたか――新首相への懸念の一端-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/310072

 昨日はとんでもない記事があったおかげで後回しにしてしまいましたが、古森氏は拉致問題に絡めて福田批判をしていました。例の、官房長官時代に被害者家族へ向けて「黙りなさい」と発言した、という問題です。「例の」というのは、福田氏の当確が決まったころからマルチポストされて目立っていたからなのですが、こもりんも発想がネトウヨなみになっちゃったのかなあ、とか思うとちょっと寂しいですね。内容も、救う会全国協議会事務局長・荒木和博氏の文章を引用しているだけだし。
 コピペでは福田氏がかなりひどいことを言ったように強調されているのですが、この荒木氏のテキストでは、文脈から事実関係を読みとれないためもあって、ちょっとピンとこないものになっています。古森氏の引用でも実は明確ではないのですが、どうやら2002年9月17日の日朝会談当日、日本国内での出来事を伝えているようです。

(生存者のご家族の皆さんは)他の方が亡くなったとの知らせに号泣しました。蓮池さんのお母さんが叱責すると福田官房長官は「黙りなさい」といって、両手を広げて「皆さんのお子さんは生きているんですよ」と強調しました。

 蓮池夫人が叱責したのは、他のご家族なのか、福田氏ら政府関係者なのか。それによって「黙りなさい」のニュアンスもかなり変わってきませんかね。政府関係者に向けて、被害者全員を生かして帰せなかったことについて叱責したなら(しかしこの場合、「叱責」という表現はおかしくないかな。「難詰」あたりの方が適当でしょう)、直接それに反論する「黙りなさい」は、かなり思い上がったものに見えます。しかし、他のご家族に対して「こんなところで泣いてはいけない」といった意味の叱責だったら(これも「叱責」というのは微妙におかしいような気もします)、蓮池夫人に同意したのか、他のご家族の気持ちを踏まえて蓮池夫人に向けて言ったのか、いずれにしても、どれほどの問題になるでしょうか。ただ、なんにしても言葉遣いが不適切であるということは言えると思いますが。
 これは要するに、荒木氏の文章表現が稚拙という問題ではないのかなあ。古森氏が引用した文章の、他の部分を再引用します。

福田官房長官は「亡くなったという情報があります」という言い方でしたが、どちらも語調は極めて断定的で「北朝鮮側がこういう情報を伝えています」といったようなものではありませんでした。

 少なくともここに引用されている言葉を読むかぎり、前者の科白が後者のニュアンスを持たないとは、とても思えません。「情報があります」と言って、その情報は北朝鮮側から伝わってきたものとしか考えられないわけですから。
 拉致問題の解決をわたしは心から願うし、被害者および家族会の皆さんには深く同情する気持ちがありますが、救う会に対してまで同じように尊重する理由はありませんよね。巣喰う会と揶揄されるのも理由のないことではないのですし。荒木氏のテキストへの批判が中心になってしまいましたが、なんの疑問も持たずにこれを引用できる古森氏の態度もどうなのかな、とまとめておきます。

日本非難の慰安婦決議案がオーストラリア議会で否決された――中国系の試みが失敗-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/311293/

 さらに今日付けで別のエントリも出ているのですが、こちらはStiffmuscleさんがきっちりツッコミを入れてらっしゃるので、こちらをごらんになった方が早いと思います。事実関係を自分の主張に都合よく再構成して報道する古森氏のクセはあいかわらずのようで。

Stiffmuscleの日記 - ツッコむ価値もない間違いですが
http://d.hatena.ne.jp/Stiffmuscle/20070926/p2