黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

古森義久氏と二つのテーマ。

 こもりんネタが2件あったのですが、まとめて1エントリにします。

古森義久氏、対外発信の必要性を叫ぶ。

【緯度経度】柔道にみる日本の主張-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/worldnews/86171

 これは産経新聞に掲載されたコラムです。リオデジャネイロでの世界柔道選手権の判定トラブルの話題から、29年前の国際大会で日本の立場を主張するために若き日の古森氏がかっこよく活躍した思い出なども取り混ぜ、日本はもっと世界に向けて意見を発信せねば!と力んでいます。
 ところで、http://d.hatena.ne.jp/pr3/20070915/1189861397 で紹介したように、古森氏の元に最近、山下泰裕氏からの書簡が届いたそうです。国際柔道連盟理事選挙問題について山下氏や日本柔道の立場をマスメディアで代弁することが期待されているわけですが、1週間経っても音沙汰がないようですね。いったいこれは、どうなっているのでしょうか。前回わたしも「これをまさかblogで取り上げるだけで終わらせては山下氏の信頼を裏切ることになります」と危惧していたのですが……。日本の立場を世界に向けて主張することも必要ですが*1、まず日本国内に向けての発信さえしないのでは、日本柔道の国際化、日本の価値観の主張などは、遠い虹の向こうになってしまいますね。

古森義久氏、まだ小沢氏を批判する。

小沢一郎さん、国連軍を日本に常駐させたら、どうでしょうかーー実際にあった提案です-ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/307483

 こちらは古森blogのエントリ。国連批判に切り替えるのかと思ったら、まだ小沢批判は続けるんですね。といっても、かつて書いた国連批判の記事(2003/07/31 産経新聞オピニオン面掲載、おそらく単行本『国連幻想』に収録されたものでしょう)の再掲がほとんどで、小沢批判は見出しと短い冒頭文だけですが。
 ちょっとわたくしごとになるのですが、日米安保反対派の一部が国連軍常駐構想を唱えていたことは、この記事で初めて知りました。ただ、わりと最近に別の道筋から同じ発想に至ったことがあるので、びっくりしてしまいました。日本国憲法の条文を素直に読めば、日本国が武力を持つことはできません。最低限の自衛権は持っている、というのが一般的な解釈のようですが、それは海上保安庁レベルの話でしょう。だから、防衛省と陸海空の自衛隊はまるごと必要ない。といっても、20万人を一気に解雇したら社会不安が起きるし、蓄積した装備や技術やノウハウはあるていど活かしたい。で、防衛省だけ廃止して、今の自衛隊を組織丸ごと、常設国連軍に編入してしまうのです。指揮権は国連総会と安保理にあり、日本政府は直接口を出せない。といっても、当然ながら費用はほとんど日本国が負担するでしょうし(分担金との総額は減らせそう)、国連内部での発言力は急上昇しますから、日本にとって大きく不利にはならないでしょう。たとえば、国連軍(元自衛隊)が常駐する地域に北朝鮮なりが攻め込んできたら、それは国連への攻撃とみなされるようになるわけで、その効果は絶大です。国連の決議次第で、日本人の国連軍兵士が聞いたこともないような国に派遣されるリスクはありますが、それは現在のPKFだってあまり変わらないのだし。この手法が有効だとわかれば、自国の軍備を放棄して国連に委ねる国が増えてくることも予想されますし、それは日本国憲法が想定していた理想とも合致するはずです。
 まあこれは、軍事には疎い人間が頭の中だけで考えた発想なのでいろいろ穴があるでしょうが、ひとつのアイディアではあろうと思います。憲法改悪と対米追従しか頭にない、一部の政治家や評論家や自称ジャーナリストは、自衛隊強化と日米安保強化以外のこうした可能性を、そもそも考えようともしないのでしょうが、その固定した発想が本当に日本のためになるのか? という視点で一度でも考えることができないなら、評論家やジャーナリストの看板は下ろしてしまうべきだと信じます。


 実は、よく考えてみると、小沢氏は常設国連軍のことなんか最初からなんにも言ってませんよね(非常設国連軍によるPKFへの積極参加は昔から一貫して唱えていますが)。古森氏のこのエントリを読み直してみると、そういう考えを持った人がかつていた(今もここにいますが)、古森氏が彼らを批判したことがある、「国連軍」というキーワードで彼らと小沢氏を結びつけることができる、という飛躍だけで、脳内小沢氏に向けてシャドーボクシングをしているだけの、批判の対象にもならない代物でしたね。まあ、上の文章はいつかどこかで書いておきたいと思っていたことなので、わたし個人はすっきりしたから、まあいっか。

*1:適任者であるはずの古森氏がその仕事から逃げ回っている、ということも何度か指摘していますが。