黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経、水に落ちた犬を叩く。

 さて、1日経過したところで、産経のリアクションを見てみましょう。ここを見るのが早いかな。

「安倍首相、突然の辞意表明」特集のニュース一覧:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/feature/3323/politics/allnews/

 こうして時系列に並んだ記事を読んでいくと、あることに気がつきます。たとえば昨夜22:23の時点では、こんな記事が出ていました。

“直球”首相退陣、曲がる日本の針路 阿比留瑠比-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/84165/

 まあ、ブッシュべったりの安倍にさらにべったりなあびるんの記事ですから*1、いずれにしろこんなもんでしょうが、無署名でも23:14にはこういう記事が出ています。

どうなる国会 ずれ込み必至「給油」描けぬ展望-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/84192/

 第一報までさかのぼっても、12日中はだいたいこういう感じで、安倍改革を途中で放り出すな、的な論調が目立ちます。日付が変わった1時前後は、麻生太郎幹事長を持ち上げる記事が連続しています。しかしあいかわらず、人の神経を逆なでするような見出しが得意だなあ。

「オタク」系はニヤリ 安倍辞任で株価乱高下-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/finance/84198/

 このあと、未明は記事の配信がありません。ところが明けて5時以降、「主張」「産経抄」が出ると同時に、論調に変化が見られます。

【主張】首相辞任表明 国際公約果たす態勢を-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/84232/
産経抄】9月13日-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/84233/

 「主張」は「稚拙な政権運営をただせ」「極めて遺憾」「無責任極まりない」産経抄「世界の笑いものになったことには変わりない」「後継首相は、政治家を『天職』とする人物であってほしい」。あとはもう、この方向で一直線です。

安倍首相辞任「国民不在の政治劇」-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/84229/
安倍首相辞任 歴代と比べ異例ずくめ 戦後初、代表質問なし-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/84282/
「病院の入り方もコソコソ」安倍首相が検査へ-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/84267/
「政界の歩くしかばね」退陣の安倍首相に米紙-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/84326/

 10時台〜16時台にかけて、引用を含むとはいえ、見出しがどんどんひどい表現になっていきます。*2
 特に「歴代と比べ異例ずくめ」の記事に注目したいのですが、「(松岡氏の自殺は)慚愧に堪えない」「(久間発言は)米国の考え方について紹介したと承知している」「私と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいか国民の考えを聞く」「私の職責にしがみつくということはない」など、壷三のネタ発言として2chの安倍叩き系スレでテンプレ化している発言をずらりと列挙しています*3。政治家の辞任にあたって目立った発言を列挙すること自体は珍しくないのですが、取捨選択の基準はどう考えても2chのテンプレが元だろ?という印象ですね。
 ところでそんな中、「正論」欄だけが、おそらく実質的な締切が早いためと、なにより筆者の個性によって、空気嫁なさで異彩を放っているのが哀れです。

【正論】安倍首相辞任 屋山太郎 真意理解されなかった改革-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/84236/


 こうしてみると、日付が変わったころになんらかの方針決定があったのではないか、と推測できます。直後には混乱して(まあ日本中がそれぞれの意味で混乱していましたから)、とりあえず今までどおり安倍を持ち上げておくか、という態度だったのが、おそらく「主張」欄での主張内容を決める段階で、やっぱり安倍はダメだった、早く次の人を持ち上げようという方針になったのではないでしょうか。
 それにしても、これだけは覚えておきたいところです。この1年間、前回の自民党総裁選挙前の数ヶ月を含めると1年半近く、安倍晋三という最低な政治家の膨大な欠点にすべて目をつぶり、彼を絶賛し、礼賛し、翼賛し続けた産経新聞は、飼い犬が病気で使い物にならなくなったとわかった12時間後に、ここまで手のひらを返したのだということを。

*1:なぜかここで、『ベティ・ブープ』に登場する犬キャラのビンボーがさらに犬を飼っていることを思い出してしまったのですが、なぜでしょうね?

*2:表示がないけど、「コソコソ」はZAKZAKの記事のような気がする。「歩くしかばね」はワシントンポストの表現を共同が配信した記事です。

*3:念のため、少なくとも「慚愧」「職責」は言葉の誤用である点をネタにされているもので、業績や出来事全般を説明するための引用とは思えません。政権選択選挙発言も、産経新聞の紙面では、選挙戦後半〜結果判明後を通してまったく存在しなかったかのような扱いでした。