安倍首相、自滅に向かう。
首相「パール判事の話楽しみ」-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/76548
なぜかわりと知られていないので(というかこれを知らせずにパール意見書を「パール判決」と称して引用する人が多いので)書いておくと、パール判事は「A級戦犯が無罪(罪が無い)」という判決を下したわけではなく、勝者が敗者を事後法で裁く「東京裁判そのものが無効だから形式的に罪が成立しない」という意見を述べただけです。これをまた曲解して、東京裁判無効論を唱える自慰史観論者もいますが、どちらかといえば「連合国の戦争犯罪(原爆投下など)も裁かれるべきで、それをせずに日本だけ裁いてはいけない」という考えが主眼になっています。先日来話題になっている広島原爆慰霊碑碑文の主語問題*1も、そもそもはパール博士の問題提起がきっかけとなっているのですが、公平を重んじる方であったことと、あらゆる戦争犯罪を憎む立場にいる方だったことは間違いないと思います。
前置きが長くなりましたが、岸信介*2の孫の安倍晋三が、そのパール博士の長男であるブロサント・パール氏と面会することになって喜んでいる、というニュースです。当たり前のことですが、親と子、先祖と子孫は別の人間なので(祖父の妄執を受け継ぐことを自分のアイデンティティにしているような人物だとそうは思わないのかもしれません)、パール氏から伺える話は故パール博士の人物についてぐらいでしょうし、安倍氏がパール氏にお礼を言うつもりなら、なんか変な話ではないかと思います。
それにしても、この時期にわざわざパール意見書のことを持ち出すというのは。安倍壷三の人間性についてはいまさら追求しませんが、政治家としてどこまで政治センスが欠けているんでしょうか。もしかしたらこの男は、日本のタカ派右翼を自滅させるための工作員ではないか、と思えてきました。
追記。(23:41)
vanacoralさんのblogの方が、もっと詳しい情報があって参考になります。
vanacoralの日記 - パール判事の長男
http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20070814