黙然日記(廃墟)

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不可解で異様な産経新聞。

 iza!は記事の保存期間が半年間なので、10日分のRSS配信を溜め込んでしまってもゆっくり読めばいいというあたりはありがたいですね。というわけで、いまごろ17日付の「主張」を読んでいるわけですが。

【主張】07参院選 拉致 国民世論を盛り上げたい-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/66562/
拉致は、国の主権とそのありようにもかかわる重要な問題である。もっと強い関心を持つべきだ。

 冒頭でこのようにいきなり無根拠に決めつけてから、各党の拉致問題対策に触れています。この部分の表現が面白いので、該当段落から文末だけ抜粋してみますね。

  • 自民党総裁には)強い意志がうかがえる。
  • 民主党は)姿勢が少し弱いように思われる。
  • 民主党は問題解決を)訴えるべきである。

 最終段落も引用しておきます。

各候補者は拉致問題でどんな主張をしているのか、あるいは何も主張していないのか。有権者はこの点にも、耳をとぎすませてほしい。

 見出しも含め、主観と願望と決めつけのオンパレードです。冒頭の決めつけを丸飲みしてしまえば、「民主党はダメだな。自民党に任せるしかない」と思ってしまうところです。しかし、自民党総裁が就任前から拉致問題を主導してきて支持率向上の最大の武器にしてきたことを思い出してみると、この文章は単に自民党の選挙ビラです。あるいはもっと言うと、対立政党を貶めるための怪文書といった性格すらうかがえます。
 拉致問題にどう取り組むか、という話は、ここではしません。自民党にとっては、ほとんど唯一の有利な争点が拉致問題であり、選挙戦略としてはこれを前面に押し出したいところだ、という点が重要なのです。ある問題が選挙の争点になるのかどうかは、最終的には有権者の判断です。しかしその有権者に対し、国政選挙の公示後に、特定の政党の立場をこれほど露骨にプッシュされると、呆れてしまいます。
 「朝日新聞の安倍政権叩きは異常」と産経新聞(の古森義久記者や外部筆者のジェームズ・アワー氏*1)や週刊新潮は非難しています。メディアが時の政権を批判すること自体は当たり前なので、そのレベルが異常、という意味なのでしょう(好意的に解釈すれば)。しかし、朝日が異常なら産経も同じぐらい異常な政権擁護をしています。絶対値は同じで方向は「当たり前」とは正反対に向かっている産経の「主張」は、異常な上にさらに異常ということになりませんかね。