黙然日記(廃墟)

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産経がMSNと提携。

産経新聞グループ、マイクロソフトと提携・MSNでニュースサービス-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/59290

毎日新聞社
新サイト「mainichi.jp」10月オープン
http://www.mainichi.co.jp/information/news/20070627-170021.html

 このニュースは、MSと毎日と産経の関係で見るとわかりやすいと思います。
 マイクロソフト日本法人が運営するポータルサイトであるMSN(日本語版)は、2004年4月から毎日新聞と提携してニュースを提供しています。毎日新聞社の側から見れば、それまで独自運営していた毎日インタラクティブをMSに委託して、MSN毎日インタラクティブという形にしていたわけです*1。それ以前のMSNもニュースは提供していたと思うのですが、どんな形だったかな。たぶん、通信社や(毎日を含めた)新聞社の記事を配信する、Yahoo!JAPANのような形だったと思いますが。そこでニュース配信機能を強化するために、他社のニュースサイトを丸ごとポータルの内部に取り込むという大胆な手段を執ったわけですが、このMSN毎日インタラクティブが9月で終了し、10月からMSN産経ニュースが始まるというニュースです。
 MSNにとってみればパートナーの変更だけで、考え方としては大きな違いはないのでしょう。――マイクロソフトの名前で産経の記事を配信して、信用が失墜するようなことがなければですが。しかし、いちおうブランドとして確立していたMSN毎日インタラクティブを終了してまでパートナーを変更するというのはわりと大きな決断で、おそらく金銭面の条件だろうな、と想像します。朝日・読売・日経といった強力なブランドを持つ新聞社とこういう形での提携はありえなさそうなので、残るは産経一択ということになるわけです。長い目で見ると、独自運営のニュースサイトとしてやっていけそうなのは朝日・読売ぐらいで(日経は経済専門としてなら生き残れそうですが)、毎日・産経あるいはブロック紙・地方紙は、なんらかの提携で生き延びていくしかないんじゃないでしょうか。
 毎日の側から見ればかなりのコストアップになるはずで、もともとコスト面の問題があってMSNと提携したのでしょうから厳しくなることが予想されますが、新聞社がニュースサイトを持たないで済ませられる時代じゃないですしね。インターネット広告の売り上げが雑誌広告を抜いて新聞広告も追い抜こうというご時世ですし*2
 さて、毎日よりさらに経営が厳しそうなSankei WEBですが、iza!と重複で運営しているだけでもかなりのコストになっているはずで、水面下ではいろいろ模索していたのでしょう。現在はβ版サービスであるiza!との統合も視野に入っていたと思うのですが、iza!の正式サービス化は無理と判断したのかもしれません。iza!MSN産経ニュースの将来的な統合は、コンセプトも重複することから難しくなったと思われます。
 MSN毎日インタラクティブにしてもそうだったのですが、ポータルサイトの一部になった時点で新聞社としての個性が消え、ネットユーザからは産経新聞の姿が見えなくなることが考えられます。これは純粋に弱小新聞社の経営問題として観察しても面白いのですが、産経とネトウヨの共棲関係に注目してきたこのblogとしては、どのようなことになるのか興味津々です。まあ実際には、大半のネトウヨ2ちゃんねるとかを経由してしか記事を読まないし、2ちゃんねるニュー速+の記者は引き続きMSN産経ニュースのサイトをチェックしてソースにするでしょうから、あまり変わらないのかもしれませんが。
 しかし昨年12月に全面リニューアルして、10ヶ月でドメインごと移動ですか。「産経スペシャル 古森義久のワシントン報告*3」のページだけはなくさないでほしいものですが。

*1:……この説明、以前どっかで書いたな。keyword:MSN毎日インタラクティブだったか。

*2:新聞広告の売り上げは全額が新聞社へ入るのに対し、インターネット広告の売り上げでニュースサイトが占める割合は相対的に少ないことに注意。

*3: http://www.sankei.co.jp/special/komori/komori.htm