黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「正論」、サラ金擁護を続ける。

【正論】小林節 新貸金業法憲法違反ではないか-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/57455/

 とりあえずツッコミ入れておきますが、利息制限が貸金業者に対して憲法に規定された営業の自由や財産権や生存権を侵すものなら、あらゆる規制改革は不可能だし、そもそもたいていの法律が施行不可能になります。この人の肩書きが憲法学者であることに、たいへんな不安を覚えます。
 産経新聞は外部筆者による「正論」欄のみならず、5月31日の社説「主張」でも同趣旨の主張をしていたようです(見落としていましたが)。

【主張】貸金業規制 冷静に不備見つめるとき-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/54481/

 小林氏および「主張」は、貸し渋りが起きることによって債務者が闇金融に流れるという危惧を大きく掲げています。しかし、多重債務の経験者として言いますが、最初から闇金融に手を出す人はいません。大手消費者金融の広告にふらふらと乗ってしまって、その限度枠がいっぱいになったときに違法金利に手を出すのです。また、消費者金融の審査が甘く借金生活に突入しそれに馴れてしまうこと、すでに債務者であるのに甘い審査で重ねて貸す業者がいることで多重債務が発生するのですから、多重債務者を減らすことが目的なら、利息制限によって審査が厳しくなるのはどう考えても望ましいはずです。だいたい20%だって銀行の貸出金利の数倍なので、これで貸し倒れリスクを計算できないなら、貸金業なんかやる資格はそもそもありません。闇金融の問題は普通に違法行為の取り締まりの問題であって、この関連のニュースを一時期に比べて聞かなくなっていますが、どうなっているのでしょうか。
 だいたい、産経新聞が掲載した両方の論では、そもそもサラ金が20%以上の金利を取るのは以前から違法であったということに、まったく触れていません。堂々と違法行為を行いながら大々的に広告を出し続けていた企業なんて、他にありませんよね。その広告料金を直接貰っていた新聞社がこんな論陣を張るのも噴飯ものです。ていうか、法改正がとっくに成立しているのにまだ諦めてなかったのかよ。