黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、問題をすりかえる。

 産経・FNN世論調査の結果に、いちばんあわてているのは産経新聞自身のようです。

【主張】支持率急落 首相は慌てずに初心語れ-イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/55399/
 深刻なのは、首相の指導力について7割近くの人が評価しておらず、その傾向が2カ月前の前回調査より強まっていることである。
 憲法改正教育再生などを通じて国のあり方を見つめ直し、主張する外交を展開しようといった政権の基本的姿勢は、時代に合致したものだ。
 政権のメッセージが国民に十分に伝わっていないとすれば、首相はもっと説明の仕方を工夫すべきだ。

 安倍首相には政権内部での指導力メッセージを伝達する力も欠けていますが、両者は別の問題です。たとえば小泉前首相は前者が怪しく後者は非常に優れていたし、森元首相(および歴代の自民党首相の大半)は前者があって後者には難がありました。世論調査で批判されたのは安倍首相の前者の力であるはずですが、産経はこの点をすりかえ、かつ伝達力の欠如も認めないまま、政権擁護のための強弁を張っているわけです。
 また、国のあり方を見直すことが時代に合致しているという指摘も、表面的には正しいのですが、安倍政権による見直しの結果があさっての方を向いているということにも、思いが至っていないようです。
 そもそもこの「主張」は、何か基本のところで間違えている気もしますけどね。国民を指導することが首相の仕事だと思いこんでいるとか。安倍と産経がそういう方向に憲法を改正したくてしかたないのはわかりますが、少なくとも現在の法体系のもとでは大間違いですから。そういう底の浅さを見抜かれた結果が、この支持率急低下だとしか言えません。