憲法60年・各社の社説。
日本国憲法施行60年、および世界報道の自由の日を記念して、とりあえず各新聞社の社説を並べて寸評を。
asahi.com：朝日新聞社説
提言―日本の新戦略 憲法60年
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
asahi.com：朝日新聞 新戦略を求めて ―ニュース特集―
http://www.asahi.com/strategy/
朝日新聞はなんと社説21本一挙掲載、紙面では8ページという大特集だそうです。通常の社説部分で概要を述べ、テーマに基づいた21本の社説の他に、1年以上続けてきた連載記事の総集編を掲載しているようです。さすがにまだ全部読んでいません（笑）。とりあえず概要と総論部分に目を通したのですが、今回の社説のメインテーマは「『地球貢献国家』をめざそう」とのことで、九条はそのままに自衛隊の国際貢献を法制化しようといった主張を前面に出しています。うーん、いつのまにかここまで踏み込んでいたのか。ここんとこ他紙のウォッチに熱中して朝日をちゃんと読んでいなかったので、ちょっとびっくり。
憲法施行60年 歴史に刻まれる節目の年だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE（読売新聞）
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070502ig90.htm
読売新聞。九条改正はあたりまえの前提として、全体の3分の2ほどを国民投票法案や改憲手続き関係の記述に費やしています。自主憲法試案を提示するなど長年改憲論を主張してきた読売にしては、（朝日と比べて）少しおとなしいかなという印象ですが、自信の現われでしょうか。
MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説
平和主義を進化させよう 国連中心に国際協力拡大を
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/
毎日新聞。朝日と似ていますが、やや護憲側に寄った立場のようです。「国連加盟国が安保理決議に基づき集団で武力行使する『集団安全保障』と、個々の国が同盟国を守るため武力行使する『集団的自衛権』とは、まったく別の概念だ。混同して議論されている」という指摘が、個人的には大変興味深く思いました。そうだよなあ。
NIKKEI NET：社説・春秋 ニュース
社説 還暦の憲法を時代の変化に合う中身に(5/3)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20070502MS3M0200R02052007.html
日本経済新聞にしては珍しく（さすがに？）、政治テーマで1本の社説を組んでいます。基本的には自民党寄りの立場ですが、地方分権や参議院改革にも言及していところが目を引きます。
【主張】憲法施行60年 日本守る自前の規範を 新しい国造りへ宿題果たせ-イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/50234/
いつも産経新聞を最後に持ってきますが、別にオチをつけようとかそんな意図じゃないんですよ。結果的になっちゃうんですが。
ここまで見てきたように各社とも、朝日は別格としても、さまざまな視点から「憲法はいかにあるべきか」を論じているわけですが、産経だけは改憲問題とは九条改正のことという視点しかありません。読売でさえ環境権・プライバシー権・知的財産権などに言及しているのに、先日の特集であれだけ訴えていた*1環境権のかの字もありませんね。ここまで視野が狭い文章を社説として堂々と掲載できるのは、産経ならではという気がします。
追記。(23:42)
iza!に似たような趣旨の記事が出ていたのでびっくり。取り急ぎ読んでみました。
憲法６０歳。記念日に社説を読み比べた感想-イザ！
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/50309
……ええと。「読み比べ」って見出しで朝日の社説しか取り上げていないのは誇大表示じゃないですか？ 時間切れってあんた、そのへんの個人blogならともかく、いちおう新聞社の記事として配信しているものでしょうが。朝日叩きしか売り物のない産経の記者が、朝日新聞論説主幹の名前を知らないというのも不勉強どころの話ではないし。
それとも、自社の社説に触れたくなかったんでしょうかね？
