検察の主張を垂れ流す産経。
【主張】ウィニー判決 開発意欲そがない議論を
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/shuchou/31414/
- ウイルスの登場で機密情報や個人情報の漏洩(ろうえい)も相次ぐなど、大きな社会問題を引き起こした。
- 被告が違法コピーに利用されると知りつつウィニーの改良を繰り返していたと認定しており、有罪の判断は妥当な流れといえよう。
- 匿名性が特性の一つでもあるネット社会では、たとえそれが明確な意図で行われた違法行為であれ、実行者の特定は極めて難しいのが実情だ。
昨日のエントリ id:pr3:20061213:1165978352 から引き継いで、産経の「主張」を見てみましょう。と言ってもこれは「産経の主張」ではなく、最初の引用であきらかですが、Winny事件とその背景をなにひとつ理解しないまま、検察側の言い分を垂れ流してるだけですねえ。ウィルスが金子氏の責任ではないことをおそらく認識しつつ、ミスリードを狙うかたちで言及しています。
金子氏は「ウィルス対策は5秒でできる」と公言しています。ウィルスの仕組みとプログラムについての知識がちょっとあれば、これが誇張でないことはわかります*1。しかし二番目に引用した部分が理由で、Winnyを改良できる人は現在誰もいないのです。Winnyによる情報流出は、この疑問だらけの裁判を起こした京都府警と検察に大きな責任があることを*2、産経新聞は理解した上でこの「主張」を書いたのでしょうか?
三番目に引用した文章も頓珍漢な上に、やはりミスリードがあります。インターネットがIP (Internet Protocol)に基づいて構築されている以上、IPアドレスの特定からは逃れられず、ネットの匿名性というのは表面的なものに過ぎない、という点がまずひとつ。そしてそれ以前に、匿名でのソフトウェア開発と匿名での著作権侵害等をわざと混同させるような書き方をしています。あるいは筆者自身が混同している、または区別できていない、ということも考えられますがいずれにしろ、今回の事件の本質を、産経がまったく理解していないということでしょう。