黙然日記(廃墟)

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産経抄のハッカー観。

産経抄】いつの日にか善玉のハッカーに 4月28日 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/170428/clm1704280004-c.html

 「ハッカー」はもともとコンピュータ使いの間で使われた尊称で、善でも悪でもなく、あえて言えば「凄い」存在です。彼らは「面白いから」コンピュータを小刻みにし、その実体をさらします。世俗的な価値観を超越しているので、「善だから」やるということは本来ないし、金儲けに手を出すのも軽蔑されます。たとえばハッカーの代表格は、スティーヴ・ジョブズも参加していたグループのリーダーであった通称キャプテン・クランチで、長距離電話をタダ架けする方法を見つけたのがその象徴的な功績です。もちろんカネ目当てではありません。「悪い」かもしれないが、「凄い」から「正しい」という一例です。
 この「産経抄」は、iPhonePS3をハッキングした「正しい」ハッカーを引き合いに出して、(おそらく)北朝鮮の凄腕コンピュータユーザに、教え諭そうとしています。ここまで説明すればわかるでしょうが、国家からカネを受け取ってその利益のために他者のコンピュータに侵入するのは、「ハッカー」ではありません。少なくとも、「正しいハッカー」ではありません。悪だけを為す凄腕コンピュータユーザには「クラッカー」という名称もあるのに、ここまで書いておいてなぜ区別しないのでしょうか。まあ、抄子にハッカー倫理を教えるのは、クラッカーを更生させるより難しそうですが。