産経「主張」、わけもわからず憂慮する。

【主張】北とテロ対策　緊張欠く審議を憂慮する - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/170219/clm1702190003-c.html

　金正男氏が暗殺されたことで、マレーシア国家に具体的にどんな損害があったのでしょうか。立場を置き換えて、日本国内で要人テロが起きたら、と考えると、金大中事件の実例が思い起こされます。軍事政権時代の韓国KCIAによって東京で起きた要人誘拐事件ですが、この事件で日本国は大いに体面をつぶされたものの、日本人が一人でも殺害されたり拉致されたりしたわけではありません。今回の事件におけるマレーシア人も同じです（ご丁寧に、だまされて実行犯に仕立て上げられたとみられる人物まで外国籍です）。むろん、だからテロ対策がなくてもいい、とは申しませんが、短絡的に過ぎるのではないでしょうか。
　開幕したアジア冬季大会をはじめ、ここ数年で北東アジアに大きなスポーツ大会が集中しますが、しかしスポーツ大会とテロを結びつけるのも強引です。1987年の大韓航空機爆破事件が、ソウル五輪開催阻止のためだというのは、どうも初耳のような気がします。
　こうして、「テロの脅威があるから共謀罪制定は必要だ」と声高に叫ぶわけですが、しかし、外敵の脅威を強調して国民を弾圧する手法には、覚えがあります。この道はいつか来た道。