産経論説委員長の2017年。
あけまして今年もよろしくお願いします。
【年のはじめに】自ら日本の活路を開こう 論説委員長・石井聡 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/170101/clm1701010003-c.html
各紙恒例、記者のトップである論説委員長による年頭社説です。面白いので、《》で引用しつつ、段落ごとに読んでいきます。
《この言葉の主語を「国」とすれば、日本がずいぶん長く置き去りにしてきたこと》。すぐに主語を「国」にするのは、産経がずいぶんやってきたことのように思います。
《民主主義という基本的な価値観さえ揺らいでいる》。日本で揺らしている筆頭が産経新聞です。
「明治維新に匹敵する変革期」って、30年前から言われてますね。
中国・ロシアは名指しで非難して、米国は《超大国の内向き志向》とぼかしているのも、産経愛読者ならうふふと微笑むところです。
安倍晋三首相の年末外国を《戦後へのけじめをつけたいとの共通項》とまとめたのはお上手。もっとストレートに「戦後レジームからの脱却外交」って書いでもいいのよ?
改憲論も一席ぶっていますが、現行憲法が押しつけというなら明治憲法も国民と関係ないところで作られた押し付けですし、それを国民が受け入れていたということならけっこうな話です。
《自己決定という国家の本質》。ほらまた、主語を「国家」にする。それを言うなら「主権者国民」です。
《建国の理念を再認識しつつ》憲法論議(憲法改悪)を、って、なによいったい。日本国建国の理念なら日本国憲法に書いてありますから、つまりそのままでいいことになります。やまとのくに建国の理念だと、北九州は征服したから今度は大和盆地を征服しようというだけの理念かと思いますが、それを憲法に書けというのでしょうか。ここは本気で理解できません。
《日本と日本人には失うことのできないものがある》。よくぞ言ってくれました。安倍政権と産経新聞が奪おうとしているのが、それです。
譲位問題について一言述べておくなら、あれだけ「法の支配」を口にしているのですから、方の元も平等に抵触する今上個人のための特例法ではなく、皇室典範の恒久的な改正で臨むべきというのが、安倍政権と産経新聞の取るべきスタンスであるはずです。
《足踏みする景気の原因や責任を、世界経済の変調に求めてばかりいても、解決にはならない》。はい。「アベノミクスの失敗」という真の原因から目をそらしてはなりません。
シメの部分がまた、なにを言ってるかわかりません。日本大好き外国人を持ち上げながら《ちょっと変わった外国人》扱いしています(昔の言い方だと「変なガイジン」ですね)。世界にはいろんな人がいる、ということ日本人は、それこそクールに受け止めればいいのであって、あらゆる意味で特別扱いする必要はありません。(もちろん、友人には友人のもてなし方、客人には客人のもてなし方がある、という意味です)。まあ、このへんが産経の限界ですか。正月から楽しいものを読ませてもらいました。