産経「正論」、反論するが。他。
【正論】一方的資料で緊急事態条項に反対したTBS報道特集 「燃料不足と震災関連死は無関係」に異議 日本大学教授 百地章 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/160517/clm1605170009-c.html
まず、百地氏が『まんが女子の集まる憲法おしゃべりカフェ』なるマンガを監修していて、それをこの文章のソースのひとつにしているというところが笑いのツボにはまってしまいました。そんなタイトルでネトウヨ主婦を釣ろうとしているのもお笑いだし、他にまともな書籍や論文で緊急事態条項導入の必要性を訴えるものはなかったのでしょうか。
「東日本大震災時、燃料不足により緊急車両が出動できず震災関連死が発生した、だから改憲して緊急事態条項を導入し燃料統制を可能にするべきだ」という改憲側のデマに対し、4月30日のTBSテレビ「報道特集」やTBSラジオの荻上チキ氏の番組が、「被災自治体に確認したが燃料不足による関連死の事例はないという返答だった」とスクープしたことは、大きな話題になりました。憲法改悪の根拠の一つが失われたという以前に、人間の生死をネタにデマを飛ばしてまで憲法を改悪したい側の醜悪さが浮き彫りにされた事案でした。
ここで百地氏が、「せっかく『まんが憲法カフェ』で主張したのに! きぃきぃ」となっていろいろ反論しているのですが、いろいろ資料をびっぱりだしてきてご苦労様とはいえ、どうも弱いですね。まず、当時の新聞報道があてにならないのは、現地での情報錯綜を知っている人なら誰でも「合理的に推測」できます。また、やや経ってからまとめられた総合的なリポートで述べられていることは、個別の事例に触れておらず、ソースを当たってみる意味はあります。それをやったのがTBS「報道特集」です。
震災のときにこういうことが起きそうだ、いや起きた、というパターンのデマは、いくらでもあります。しかしたどってみると、そういう事例は起きていない、デマだった、とわかるはあ胃が多いのです。デマに基づいてなにかを、たとえば毒を入れる朝鮮人を虐殺するような真似は、許されません。そういう観点から、百地氏側に求められるのは、一度持ち出した「燃料不足による震災関連死」の具体例を挙げることであって、《合理的な推測》などではありません。例を挙げられないなら、憲法改悪の声も(いったんは)引き下げるべきです。
【主張】ゆとり決別宣言 厳しく鍛えてこそ強靱に - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/160517/clm1605170001-c.html
ついでなのでちょっと触れるだけにしておきますが、はいはいゆとりですね。よく「数学やって人生になんのメリットがあっだのか」と言われますが、高校までの数学、微積分の基礎まではけっこう日常に応用できます。理解していないから応用できない、メリットがわからないだけです。ただ、その中でも、台形の面積の公式やπの概数を3.14にしたときの.14部分は、日常で役に立ったことがありません。三角形二つの面積を足したり(公式を変形すればそうなります)「およそ3」でじゅうぶんです。
産経新聞社に入ってくるゆとり世代が役に立たないのは、単に人気がなくてろくな人材が集まらないからです。