黙然日記(廃墟)

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産経「主張」、さらにはしゃぐ。

 南部陽一郎先生の訃報に接し、心よりの感謝と哀悼の意を捧げます。合掌

【主張】安保法衆院通過 日本の守り向上へ前進だ 国民の理解深める努力尽くせ - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/150717/clm1507170002-c.html

 《米国や他の友好国との協力》と産経が言う友好国の中に、韓国は入っているのですか。軍事同盟を結んでいるのは米国だけで、その他の国は集団的自衛権の防護対象に含まないと国会答弁で明言されたはずですが。また、その友好国に喧嘩を売っているのは産経新聞です。ちなみに米国との「(条約による)軍事同盟」に繰り返しになりますが補足しておくと、米国の軍事力と日本の基地提供による双務的な条約であり、日本がさらに軍事力を提供する理由はありません。
 集団的自衛権とは基本的に「外に出て行く権利」であって、なぜそれが日本の「領土」を守ることに繋がるのか、明確な説明は安倍晋三政権からも産経新聞社からも聞いたことがありません。機雷処理とか海外在留民の脱出とかの説明は、いちおう聞きました。「領土」については、なにも聞いていません。にもかかわらず、安倍首相や産経新聞はこういうとき平気で「領土を守るため」と言ってのけるのです。いつも現れる二択の疑問ですが、彼らは頭が悪いのか、詐欺師なのか、どちらなのでしょう。
 《(中国による南シナ海埋め立ては)「力による現状変更」の典型》というのも言葉の使い方として間違っています。典型は、ロシアによるクリミア半島併合です。力を背景に脅しつけ、民主主義の形態だけ取った一方的行動でした。それに対して岩礁埋め立ては(領土的主張に一定の妥当性があるとしても)もっと悪質なもので、言葉として不正確です。要するに産経「主張」は、「力による現状変更」という言葉を覚えたから言ってみたいだけなのです。
 明らかに日本国の領土である尖閣諸島を守るために、集団的自衛権が具体的にどう役立つのか、きちんとした説明を聞いてみたいものです。関係ないでしょ? グレーゾーン事態法案の方がまだしも役に立つでしょ? 衆議院の審議で、与党の説明する努力が足りなかったんじゃなくて、そもそも説明できないのです。国民および産経読者も、舐められたものです。