黙然日記(廃墟)

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産経「正論」古田氏の飛躍ぶり。

 日本の学校では「ゲルマン人やフランク人といった野蛮人が西ローマ帝国の文明を破壊し、その後だいぶ経ってからドイツやフランスという文明国が生まれました」と教えますが、たとえば英語圏では「German」「Franc(e)」と教えるわけで、ヨーロッパ史に対する見方が少し違ってくるのではないでしょうか。

【正論】韓国は日米と歩むほか道はない 筑波大学大学院教授・古田博司 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/print/150609/clm1506090001-c.html

 まず、《コリアとシナの隣国関係》という小見出しが目にとまりました。なぜ「コリアとチャイナ」ではないのか、まったく理解に苦しみます。まあ、古田氏に論理性を求めても無駄なことは、もうわかっていますが。
 中世の(東アジアの中世は非常に長いのですが)朝鮮では技術力が低く、まともな針が生産できなかったからチャイナからの輸入に頼っていた、と一つ覚えのように繰り返していますが、当時の日本だってたいして変わりゃしません。釣り針が非常に貴重なものだったから、それをなくしたなくさないで深刻な兄弟げんかが起きた例が、記紀の「海幸彦山幸彦」の神話にも現れています。そもそも古田氏の技術史への理解なんて、「顔料がないから衣服や磁器が白くなった」ていどの代物ですけどね。それにしても古田氏は、朝鮮をくさすことに必死でチャイナがいかに文明国であったかを強調し続けますが、中華文明こそ文明で周辺はすべて蛮族という、悪い意味での中華主義者なのでしょうかね。
 現代の大韓民国は、奇跡の工業化を成し遂げ、資源はなくともG20の一翼を担う工業国です。日本以外の地域におけるサムスンヒュンダイのブランド力は、想像以上のものです。この行き方を否定したら、それは戦後日本の否定に他なりません。韓国は朝鮮史の上で特異な存在ですが、南北統一したらまた鎖国して飢餓輸出するしかない、といういう結論は、論理が飛躍しすぎて理解不能です。この文章の、なんもかんもが的外れとは言いませんが、わけのわからない独り合点の部分が多すぎて、普通の人にはおよそ理解困難です。筑波大の院生や産経新聞の編集者には、この文章がよく理解できるのでしょうかね。謎です。