黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の入学式観。他。

 4/16分です。

【主張】担任の入学式欠席 教師が優先すべきは何か - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140416/edc14041603330001-n1.htm

 まさかこんなトピックニュースで社説を書くとは思いませんでしたが、よく考えれば、実に産経好みの題材です。高校教諭が、自分の子供の入学式に出るため職場の入学式を欠席した、という、そもそもニュースになるのかというお話ですが、産経は食いついてきました。ちなみにニュースソースは、また埼玉県教委です。本当に申し訳ない。
 《「私」を抑え「公」を優先すべきときがあることを身をもって教えることも教師の仕事であるはずだ》って、そんなこと誰が決めたんですか。教師はなんでもできるスーパーマンであらねばならない、という、幻想でしょうか。産経の理想とする“教育”では、教師は人間性を否定され、国策を子供に詰め込むための道具であれ、というものなのでしょう。労働条件や賃金の要求などとんでもない、ということになります。そんな“教育”が現代で通用しないことは、イデオロギッシュな頭では認識の埒外なのでしょうが。

【正論】マッカーサーも「解釈」を変えた - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140416/plc14041603310006-n1.htm

 米国ヴァンダービルト大学日米研究協力センター所長のジェームス・E・アワー氏です。ダグラス・マッカーサー日本国憲法制定当初、自衛権を一切否定する解釈だったが朝鮮戦争で状況が変化するとすかさず個別的自衛権を認め警察予備隊を作った、憲法解釈の変更は前例があるのだから、集団的自衛権も認めてしかるべきだ、という、いかにもアワー氏らしい乱暴な議論です。マッカーサー解釈は軍人独裁者によるもので、精緻な法律的議論を積み重ねて生まれた解釈ではありません。またアワー氏は、現在の憲法解釈は与野党のせめぎ合いから生まれた政治的なものだ、とも指摘していますが、野党(当時の日本社会党)をdisりたいだけだとしか思えません。大震災時に日米統合本部を設立して対処に当たったことをアワー氏は集団的自衛権行使の例として挙げていますが、わたしにはちょっと理解不能です。アワー氏の言葉遊びではなく、本当にそんな議論がどこかにあるのでしょうか。《日本は集団的自衛権を行使できると表明することは、憲法解釈の見直しではない》、なぜなら自衛権はすでに認められているからだ、との記述とか、理解に苦しむ部分が多すぎます。政府の憲法解釈では個別的自衛権だけを認め集団的自衛権を名指しで行使否認しているのに、そのちがいを無視して「自衛権があるから」というのは、なんの説明にもなっていません。この人は日本語も英語もわからないのではないか、という不安が頭をよぎります。
 ちょっと思いついたのでメモしておきます。現在の憲法解釈、「集団的自衛権国際法上認められているが憲法上制約される」というのは、産経が言うようにそんなに理にかなわないものなのでしょうか。現在日本には姦通罪がないので、わたしには法律上浮気する権利があると解釈できます。しかし、倫理観という(内的)制約によって、浮気はしません。しないんじゃないかな。たぶんしないと思う。まちょっと(略)。個人の行動なら「覚悟はしておけ」で済みますが、一国の憲法となると揺るがすわけにはいきません。「外的には権利があるが内的制約により不可能」という例は、他にいくらでも見つかると思います。