黙然日記(廃墟)

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産経歴史戦の史跡観。

 4/4分です。

南京市が旧日本軍の「慰安所」保存 記念館計画で中国、韓国と共闘(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140404/chn14040407180000-n1.htm

【歴史戦 第1部 河野談話の罪(4)前半】中国“歴史カード”の1つに急浮上した「慰安婦」(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140404/chn14040409090001-n1.htm

【歴史戦 第1部河野談話の罪(4)後半】中国が仕掛ける根拠不明の「慰安婦30万人」 6月英文出版(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140404/chn14040410310002-n1.htm

 いちばん上の記事は上海支局の河崎真澄記者。【歴史戦】タグはついていませんが、連載(4)への導入ですね。(4)前半は現地レポートで、無署名ですが河崎記者が書いたものと思われます。南京市は中華民国の首都でしたから(今でも法律上はそうですが)、南京攻略戦後(大虐殺事件後)に多くの日本軍将兵が駐留し、慰安所も最大級のものが作られました。その建物が放置され、敷地はゴミ捨て場になっているものを、史跡として保存しようという動きを、「歴史戦」として扱っているのです。《建物は誰でも自由に出入りすることができるような雰囲気にも見えた》、だからそこの住人(従軍慰安婦)たちは性奴隷ではない、と寝とぼけたことを書いていますが、戦後70年ずっと見張りが立っていないと、「当時から出入り自由だった」ということになってしまうのでしょうか。建物の出入りが自由でも敷地の出入りはどうなのかという問題もありますし、そもそも故郷に帰還する自由はあったのかというところが、奴隷労働であったかどうかの決定的な違いなのですが、それには素知らぬふりをして(あるいは本気で知らないのか)、歴史歪曲を行っているわけです。
 (4)後半は、中国が従軍慰安婦30万人説を唱えはじめたというもので゛たしかに根拠不明の数字ではありますが、南京大虐殺犠牲者数の主張と結びつけるのは強引というか思いつきの域を出ないでしょう。中国人研究者が従軍慰安婦問題の研究書を英文で出版することを、あたかも第三国向けの宣伝戦であるかのように言っていますが、国際的な問題に関する研究の場合、英語で論文を発表するのは普通のことです。連載(1)に引き続いて、日本の右派が対抗言説を英語で発信していないことを嘆いているのですが、まともな学術的論文を書いていない、まともな論文が右派の論理では成立しないから英文の論文もないというだけのことでしょう。しつこいようですが、渡部昇一氏でも古森義久氏でも、あるいはもっと若手の誰かでも、英語を書ける人はいくらでもいるはずなので、英語の論考を右派が発信してこなかったというのは怠慢以外の何物でもありません。悔しかったら英語で国際的に通用する論文を書けばいいでしょう。日本語でも内輪でしか通用しない文章しか発表できていない現状では、まあ無理でしょうけれど。