黙然日記(廃墟)

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古森義久氏のパターンを読む。他。

 3月30日の日曜日分です。

【あめりかノート】実は多様な靖国参拝対応 ワシントン駐在客員特派員・古森義久(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140330/amr14033003100001-n1.htm

 米国は北朝鮮ではありませんから、多様な意見が存在するのは当たり前です。しかしそのうち、ごく少数の意見だけをあれもこれもと取り上げて紹介したところで、どれだけの意味があるのでしょうか。古森氏は、米国の多数意見を紹介するという特派員本来の仕事を、少しでもしたのでしょうか。
 ……という前置きを、見出しだけを見て書きました。では本文を読んでみましょう。
 
〈しばらくお待ちください〉
 
 古森氏はリチャード・アーミテージ氏から直接意見を聞いたそうです。といっても、セミナーの質疑応答で、おそらく一般聴衆の一人として、ですが。ここで古森氏が延々と紹介しているアーミテージ氏の意見のうち、「靖国参拝は中国を利する可能性がある」といった部分を拡大すれば、バラク・オバマ政権の「失望」表明と同じことになるが、それは一部メディア(朝日新聞など)による針小棒大ではないか、と古森氏は疑っているわけです。それならわたしも、古森氏が紹介するアーミテージ氏の発言を疑わねばなりません。同じ単語の並びでも、「日本の首相には〔個人として〕信仰の自由があるが、中国外交を利することは〔首相として、最大の〕問題だ」という発言だったのかもしれない、と。もう一人、ランディ・シュライバー氏の発言も紹介されていて、こちらは質疑ですらない、討論会の発言の紹介のみです。千鳥ヶ淵戦没者墓苑をわざわざ参拝するようなやり方は《小利口な行動》と述べたなどといったことが紹介されていますが、さてはて。討論会ということは討論の相手がいて、シュライバー氏の発言に反論があったのではないかと想像できますが、それはどうなっているのでしょうか。古森氏による「米国の発言」の紹介は、いつもこんな感じです。よし、シュライバー氏が首相の靖国参拝を問題視しないとして、それは「そういう意見もある」というだけの話ではないでしょうか。
 ここで冒頭に戻って、見出しの印象だけで書いた文章を読み返してみましたが、特に修正の必要は認められませんでした(ほんとううに書き直したりしていません)。古森メソッドの底の浅さが露呈した、というところでしょうか。たまには変わったこともしてみせてくださいよ。

【主張】国家戦略特区 失敗は成長戦略の崩壊だ(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140330/plc14033003270003-n1.htm

【編集日誌】
国家戦略特区 成功に必要なのは - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140330/plc14033009010005-n1.htm

 「主張」は社説、「編集日誌」は近藤真史編集長の署名です。産経新聞は紙面をあげて首切り自由化特区を推進していくことを宣言しました。安倍晋三政権の肝煎り、アベノミクス第三の矢ですし、(自社を含めて)労働者の権利など考えもしないのが産経新聞社の社是ですから、なんら意外とするには当たらないのですが、ここまで両手を挙げて賛同し、その方向性になんらの懸念も示さない態度は、見事なほどです。いっそ、新聞の再販制度を廃止する特区も提案してみてはどうでしょうか。そこまで潔くやるのなら認めます。