黙然日記(廃墟)

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産経「正論」の善悪観。

【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 歴史の善悪に拘泥してはならぬ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130923/art13092303310003-n1.htm

 自分を「絶対善」であると信じている者には、付ける薬がありません。古田氏のことです。日本の哲学や人文科学はドイツ観念論の影響で観念的な善悪ばかりに拘泥する、と説明していますが、哲学は同時に懐疑論もその前提となっています。これは観念論も実利論もなく共通の立場で、自らが正しいのか常に検証しなければ、思想は成り立ちません。自らの立場を顧みることなく産経「正論」欄で唯我独尊を振りかざしてばかりの古田氏の意見に、少しでも拝聴すべきところがあるとは思えません。歴史認識の問題にしても同じであり、歴史的事実に対してなんらかの判定を下すという行為そのものを否定してはそもそも歴史が成り立ちません。善悪観念論を排して日本の朝鮮植民支配を見たところで、利益が誰にとっての利益であり損害がどのような損害であったか考えることは出来、そこから善悪の結論を出すことは可能です。単に、そのような訓練を古田氏が積んでこなかったというだけの話でしょう。いずれにしろ、自らを省みない姿勢は観念論でも実利論でも否定されるべきもので、あえて言えば古田氏の姿勢は「絶対悪」ということになりましょう。