黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の東京五輪観。

【主張】2020年東京五輪 成功は世界への約束だ - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130910/oth13091003280001-n1.htm

 来てほしくなかったのですが、やると決まったからには完璧に実施してみせるべきでしょう。ただしそれを、日本の国威とか高度成長の夢ふたたびなどと結びつけるのは間違っています。《日本の総力を挙げて成功させなくてはならない》などと肩肘張るのが、気持ち悪くてしょうがないというのが、わたしの招致反対の最大の理由でした。淡々と、しかし確実にプロジェクトを実行していくのが、かっこいい大人のやり方です。開催主体は東京都という都市であり、日本国ではないことも強調しておきます。
 とは言っても、東京だけでは解決できない問題もあります。東京招致にあたり直前まで最大の懸念とされていたのが、東京電力福島第一原発における汚染水漏洩問題でした。この懸念は安倍晋三首相による直前プレゼンでの大言壮語が解消したことになっていますが、本当に大丈夫なのでしょうか。安倍氏が口先だけの空約束をし、ときには虚言を弄する人物であることは、我々みんなが知っています。《政府が前面に立って事態を収束させる責任がある》とか言っている場合ではありません。政府が乗り出せば解決できるという確証でもあるのでしょうか。《招致に関してIOCから懸念材料とされた電力供給の不安》というのは初耳です。当然のように産経は原発再稼働と結びつけていますが、2年ほど前にあったかもしれないこの懸念に関してはすでに払拭されたと考えるべきではないでしょうか。
 東京の、7月下旬から8月上旬の酷暑、赤道直下より暑く湿度が高くなり全国で何万人もが救急車搬送される環境の中でフルマラソンを含むスポーツ大会を開催する、という計画も正気の沙汰ではありませんが、《ヒートアイランド現象対策にも万全を期してほしい》という産経「主張」の言いぐさは、いったいなんでしょう。一朝一夕7年間でできるものでしょうか。お台場の、でっかい球体がついたビルをぶち壊せば、少しは風通しがよくなるのですが。
 《「もてなしの心」》は日本人の美徳ですが、強要されるいわれはありません。特にこの点に関する産経の主張に、危惧を感じます。「滅私奉公」に結びつけられることがないように、監視して行かねばなりません。