黙然日記(廃墟)

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産経「主張」「正論」のウソ観。

【主張】慰安婦問題 不当な日本非難に反論を - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130528/plc13052803270004-n1.htm

 はい、歴史修正主義者の主張の見本みたいな文章が出てきました。橋下徹大阪市長従軍慰安婦問題に関する発言は、米国の手前否定しなければらないが、その根幹はポリシーとして肯定せねばならないというせめぎ合いが表れた文章も、楽しみどころです。たとえば、「河野談話発表の時点で政府は強制性を証明する文書を確認していない」という事実を、あたかも現在まで発見されていないかのようにすり替えるウソについては、scopedogさんが最近指摘しておられます*1。産経は橋下氏の発言を《これこそまさしく正論だ。後退させる必要はない》などと絶賛していますが、産経の“正論”がどんなものか、これほど如実に示している例もないでしょう。慰安婦問題で、「他の国もやっているのになぜ日本だけ」というのもよくある言い訳ですが、それは開き直りであると同時に日本だけが責められる事情もあります。日本だけが、政権に近いところから慰安婦の歴史を積極的に否定するような発言が相次ぐから、外から客観的に見れば「危険だ」とみなされるのです。日本の歴史修正主義者は、自分で自分の首を絞めていることに気づいていません。(そして被害を受けるのは一般の国民なのです)。
 あと、中国が尖閣諸島問題にポツダム宣言を蒸し返していることを途中に挟んでいますが、なんのつもりなんだかわかりません。論旨不明確もいいところで、子供の作文なら△(×はつけられないので)ですよ。《ポツダム宣言とは何の関係もない》《あまりにも歴史を無視した発言》というのは、この産経「主張」にこそ向けられるべきものでしょう。

【正論】日本大学教授・百地章 96条改正反対論のウソを見抜け - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130528/plc13052803220003-n1.htm

 改憲反対派のウソ、と大仰に見出しに掲げてきますが、ウソの指摘なんかできていません。《憲法が国家権力の行使を制限するものであることは間違いない》《一面の真実を語っていることは間違いない》など、反対派の主張は間違いないとやむを得ず認めた上で、「でもボクの考えは違うもん」とがんばっているだけです。まあ、正直だといえば正直なのですが。96条改憲推進派の理屈なんてこの程度のもの、という事実を体現しているわけですね。

*1: 河野談話発表までに「強制連行を直接示す資料」は見つけられなかった、しかし、その後見つかった、という話 - 誰かの妄想・はてなhttp://d.hatena.ne.jp/scopedog/20130526/1369543851