黙然日記(廃墟)

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産経抄、笑ふべし。他。

産経抄】「笑ふべし」ではすまない 日米の戦争の歴史観+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130520/plc13052003120003-n1.htm

 新聞の一面コラムというものは、多少ひねったりうがった見方をしたりして、読み物として面白くすることが第一だと思うのですが、今日の「産経抄」はそんなことひとつも考えていません。真っ正面からストレートに、戦後民主主義を否定するだけです。従軍慰安婦問題での歴史修正主義に世界中から当然の非難を浴びせられることを、あたかも理不尽のように書き、正当化を図ります。その一方で親米ポチの立場も捨てておらず、沖縄の米軍基地に関してだけは従米の立場を露わにするのですから、なにがなにやらわかりません。産経以外のマスコミが、一方で戦後的価値観を尊び、一方で米軍基地に反発するのは、「反米」ではなく「反戦」という文脈で見れば一貫しています。それを理解できないふりをする「産経抄」は、「好戦」で一貫している、戦争ができればなんでもいい、という解釈でよろしいのでしょうか。

「安倍首相、大宰相の可能性」右傾化批判一転、米国で高評価の兆し +(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130520/amr13052008440002-n1.htm

 佐々木類ワシントン支局長は、ますます古森義久ワシントン駐在編集特別委員に似てきました。米国の意見を紹介すると称して保守派に偏った原論だけを紹介し、のほほんとしている手法のことです。安倍晋三首相の右傾化を警戒する一方で経済政策では評価する、という観点は、別に矛盾ずくわけでも方向性が変わったわけでもないし、わたしが第二次安倍内閣成立当時から言っていることとも一致するものです。(アベノミクスは要するにバブル経済政策なので、どう軟着陸させるかが問題になるのですが)。
 佐々木記者が挙げている例は、まず「フォーリン・アフェアーズ」の安倍首相インタビューですが、右傾化には触れず経済政策にだけ触れて高評価しているようです。これも佐々木記者の要約なので、インタビューの別の部分では右傾化批判がされているのかもしれませんが。次に、ラスト・デミング元米国務省日本部長が、「安倍首相が尖閣諸島を防衛しようとするのは当然の行為でウルトラナショナリズムではない」と評価したことを紹介しています。なにこのあさってな意見。尖閣防衛そのものを右傾化と批判している人も国もありません。彼らが、ことのついでに「尖閣自衛隊を常駐させよう」とか火事場泥棒のようなことを言い出すあたりが批判されているだけです。《歴史認識でつまずかなければ、大宰相になる可能性がある》というのがデミング享受の「絶賛」だそうですが、この発言は、極端に好意的ではありますが、先に挙げた一般的な見方の言い方を変えただけでしょう。
 続いて登場するのがケビン・ドークジョージタウン大学教授で、思わず笑ってしまいました。古森記者の記事にしょっちゅう登場する人物です。いわば米国のネトウヨなので、相手にするに値しません。本当にこの人は日本専門家で、現在の日本のナショナリズムを虚心に観察しているのか、《「多くの米国人は偏見を持ち、日本のナショナリズムといえば戦前の日本軍部を想起するが間違いだ」》というここでの発言を見るだけで疑問が生じます。日本のナショナリスト軍産複合体含む)からいくらか貰っているとでも考えなければ、およそ不可解な発言です。とにかくこの佐々木記者の記事は、古森記者の記事とそっくりになってきて、こうなるといつ佐々木記者が古森記者なみの問題発言を起こすかが楽しみになってくるぐらいです。