黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の衣の下。

【主張】憲法96条改正 「加憲」の立場はどうした+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130310/plc13031003170004-n1.htm

 96条改正が9条改正への布石であることを、隠しもしていません。これではせっかく96条先行改正というアイディアを出した安倍晋三氏もやりにくいのではないでしょうか。足を引っ張る身内というのは、本当に困ったものです。
 現在の憲法第96条の考え方は、「国民の大多数が賛成するなら改正してもいいよ」、つまり、国論が二分しているときには議論の結果が出るまで待つ、というものです。環境権のような考え方に反対している人はほとんどいません。そういう考え方は客観的にも良いものだろうから憲法に加える、という姿勢です。国論を二分するテーマで、たまたまどちらかがほんのわずか優勢になるたびに改憲を言い出されたらたまらない、という姿勢でもあります。理解しにくい姿勢ではないと思いますが、どうでしょう。そして理解されにくいのは、「民主主義とは多数決ではない」という姿勢です。民主主義とは議論を通した意見の集約であって、多数決は時間が限られているときの最後の手段に過ぎません。日本国憲法に定められた手続きには、この思想が一貫しています。一般国民から理解が足りないのは、やむを得ない面もあるでしょう。しかし、政治家や言論機関がといった専門家がこの民主主義の大原則を忘れて、あるいは積極的に無視して、あたかも民主主義=多数決であるかのような行動を取ることは、許せません。
 この産経「主張」は、連立与党である公明党が加憲を掲げながら96条改正反対論に断っているのはおかしい、連立を組んでいるんだからなんでも言うことを聞け、と主張していますが、とんでもないことです。なんでも同じだったら別の政党である必要はありません。また先に説明したように、加憲こそ現行96条の思想そのものですから、公明党の立場はなんら矛盾したものではありません。産経の言っていることこそ無茶苦茶だというべきでしょう。