黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の賃上げ観。

【主張】春闘と賃上げ 経営者の「覚悟」が必要だ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130219/biz13021903180008-n1.htm

 いくら川上で金融緩和を実施しても、末端になる個人消費が伸びなければデフレは克服できない、賃上げこそ最優先課題だということは、当ブログで何度も指摘してきました。それを理解しない産経やアベノミクスへのいらだちを込めて発言してきたわけですが、ここに来て安倍晋三政権が経済界に賃上げを求め、産経がそれに乗っかるという変化が起きています。もちろん、この傾向は大歓迎します。あとは経営側が経済の基本を理解し、デフレ脱却のためひいては自らの利益のために、率先して賃上げを実行するだけです。
 ただし。ここで「ただし」と続いてしまうところが、産経「主張」の産経たるゆえんです。ただしこの「主張」は、最後によけいなことをくっつけています。労働側も企業経営に理解を示せ、という、それだけなら正論ですが、硬直した人事制度を排して雇用流動化の元に若年雇用を確保せよと求めています。これは要するに総人件費を抑制するという経営側の発想で、これでは個人消費の喚起という大目的にかなわないことは明白です。定期昇給も正社員制度も若年層雇用も、いずれも成り立たせなければデフレ脱却はできません。その点を理解していない旧弊な思考に固執しているのが産経「主張」の問題点です。