黙然日記(廃墟)

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産経古森氏の体罰観。

【あめりかノート】ワシントン駐在編集特別委員・古森義久 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130206/mrt13020603140000-n1.htm

 《通用しない「柔道の暴力」》と題された一文です。女子柔道代表の暴力問題をとりあげ、暴力による指導は米国では絶対に許されない、日本でも当然だ、監督のみならず全柔連会長も辞任すべき、と、これはまったく正しいことを論じています。ただし、論拠におかしなところがあります。自分が10年間在籍した慶応柔道部では(古森氏は中等部からなんですね)暴力による指導など断じてなかった、と前半で力説しているのはいいのですが、後半になって、中等部2年のとき大学3年生に絞め落とされた暴力経験をさらりと書いています。その大学生が処罰されたというならわかるのですが、そんな話はどこにもありません。古森少年は恨みを抱えたまま成長し性格に歪みを生じた、いやそんなことは書いてありませんが、とにかくそんなことらしいです。日本柔道界に、「暴力による指導」はなくとも、「暴力そのもの」を容認する体質があるのではないでしょうか。もちろんこの「暴力」とは、実技とは別のものです。「暴力」と実技を区別するために、柔道界には厳しいルールが存在するはずです。にもかかわらず、大学生が中学生を面白半分に絞め落としてなんの咎も受けないというのでは、前半で古森氏が力説している暴力指導排除への姿勢も、どれほどのものなのか疑いたくなります。この場合、正しい態度は、その暴力体質を素直に認め、トップ選手の世界にまで連なっていることを認めることではないでしょうか。自己正当化は古森氏の得意技ですが、これはいただけません。