黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

産経「主張」の“拉致”観。他。

【主張】拉致と衆院選 国家の問題どう解決する - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121209/plc12120903240005-n1.htm
 日本未来の党は公約で、「『拉致国家』の汚名を返上するためハーグ条約を早期に批准」とうたう一方で、肝心の拉致問題を書いていない。
 米国人男性との結婚が破綻した日本人女性が、子供を日本に連れ帰る問題を指摘したものとみられるが、それと拉致問題は次元が異なる。日本が犯罪国家であるかのような紛らわしい表現だ。

 「拉致」という日本語を「北朝鮮による日本人拉致事件」の意味のみに限定するのは、産経新聞の勝手な解釈です。産経は、上の「主張」見出しのようにしばしば「北朝鮮」を「北」と略しますが*1、「今日は北からの風が少しあったな」とわたしが言ったら「“北”に言及したのに“拉致”に触れないのはおかしい」とか抗議されそうです。
 国際離婚による子供連れ去り問題も重要な拉致問題であり、ハーグ条約批准は至急の課題です。いや、それに反対する立場であってもいいのですが、“拉致”という言葉を子供連れ去り問題に使ってはいけない、日本人拉致事件以外に使うことはまかりならんという姿勢は、あきらかにおかしなものです。日本語の使い方を決める権利は、産経新聞にはありません。

「【エディターズEye】文世光事件への対応誤った日本」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/korea/613222/

 珍しく、韓国がらみの話で日本が謝罪すべきという話が産経に載っています。朴正煕大統領(当時)の妻が暗殺された文世光事件について、犯人が生まれ育ち暗殺の指示を朝鮮総連から受けた場所でもある日本にも責任がある、という、妙な理論です。朝鮮総連を野放しにしているのがいけない、ということを言いたいらしいのですが、言っているのがあの渡辺浩記者というところで、また首をかしげます。教科書問題では韓国・中国の要請に猛反発し、かつ、統一協会の広告塔としてID論を紙面に掲載したあの渡辺記者が、「日本は韓国に謝罪すべき」と唱えているのを見ると、ネットのコピペではありませんが、なにやら深読みしたくなります。

【主張】北ミサイル発言 官房長官として不適切だ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121209/plc12120903060004-n1.htm

 《〔打ち上げるなら〕さっさと月曜日(10日)に上げてくれるといいんですけど》という藤村修官房長官の発言が不適切だとして、攻め込もうとしています。発言ひとつでよくこれだけ話を展開できるものだと、感心してしまいます。冒頭のように〔〕を補えば、なんということもないというか、妥当とすら言える発言に思えてきます。こうして発言を補うのは、たとえば《月曜日》に《(10日)》を補うように、ごく普通に行われていることです。「発言を切り出して批判している」と言われてもしかたないのではないでしょうか。産経に限らず全マスコミが一斉にこの発言を攻撃しているような状況は、どうもおかしいと感じます。

【書評】『コミンテルンルーズヴェルトの時限爆弾』江崎道朗著+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121209/bks12120908250009-n1.htm

 タイトルだけで笑ってしまったので、貼っておきます。版元は展転社、評者は中西輝政氏。田母神俊雄氏の“論文”以来、「コミンテルン」と聞くと「コミンテルンの陰謀」と脳内で続けてしまうのですが、現代日本コミンテルンに言及されるときはかならずのように陰謀論がセットになっているので、これでもあまり困っていません。

*1:もちろんいちいち「朝鮮民主主義人民共和国」と書け、とは言いませんが。