黙然日記(廃墟)

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産経の解散観。

産経抄】11月15日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121115/stt12111503170002-n1.htm

【主張】16日解散 国難打破する新体制を 野田首相がやっと決断した - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121115/stt12111503200004-n1.htm

 野田佳彦首相を褒めちぎっていて、気持ち悪いんですがね。まあ、あれだけ解散しろしろと責め立てていたのですから、いざ解散を決断したとなれば手のひらを返してもいいのですが、「決断が遅すぎた」と続けて責めるぐらいでないと、産経らしくありません。「首相の迫力に安倍晋三自民総裁がたじろいだ」なんて、産経が書くべき文章ではないでしょう。
 「産経抄」によると、「近いうちに」という言葉は「先延ばし」の代名詞となって流行語大賞も狙えるそうですが、どこでそんなに流行っているんでしょうか。「あたし、アベっちゃおうかなぁ〜」と、どっちが流行っているんでしょうかね。サンケるとはまさにこのことです。
 「主張」は首相を褒めるかわり、解散反対の声が強い民主党を責めています。「4年間の任期をまっとうすべき」というのは堂々たる正論で、党利党略でもなんでもないのですが、「主張」にかかるとそういうことにされてしまいます。憲法軽視もいいところです、いまさら言うことでもありませんが。
 産経がこれほどまでに衆議院解散を渇望していたのは、これで自民党が政権復帰できる、という読みというか確信があるからでしょう。3年2ヶ月の下野なうは、かなりこたえていたとみえます。しかし、単に政権復帰しただけで、それほどなにもかも都合よくいくのでしょうか。たとえ自民党衆院過半数を獲得したとしても(小選挙区制中心なので地滑り的な勝利があり得ます)、あれだけ深く選挙協力している公明党との連立を解消するわけにはいきません。まあ公明はもはや下駄の雪としても、現在の参議院で自公が過半数を確保していない以上、少なくとも来年7月の参院選までは、さらにどこかと連立または政策協定を組むしかありません。まさか第三極が結集した上で自民党に協力するなんて甘いことは考えていないでしょうから、選挙後の枠組みはやはり民自公大連立しかあり得ないのです。このことは記憶しておかねばなりません。嫌でもなんでも。しかしこの政権は、かなりの内紛のタネを抱えたものになるでしょう。支持率も最初から高いものは期待できません。産経の望む「自民党政権下で安倍晋三総理閣下による独裁」という姿からは、遠く離れたものになってしまいます。政権運営に行き詰まったストレスで、また参院選前後に政権を放り出す安倍氏の姿が目に浮かんできます。安倍首相誕生から政権放り出しまでの産経論説の軌跡を、我々はしっかり記憶しておかねばなりません。全海保売り出しのときは翌日に手のひらを返し*1、そして何事もなかったかのようにまたすり寄っていました。