黙然日記(廃墟)

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産経論説委員の想像力。

【一筆多論】五十嵐徹 想像力が欠けていないか+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121029/crm12102907550001-n1.htm

 「新聞の社説は色と綾に欠ける」という丸谷才一氏(ご冥福をお祈りします。合掌)の指摘を引用し、「色と綾」を想像力と訳しています。そこから、パソコン遠隔操作事件の犯人への批判、想像力に欠けた人間ではないかという話につなげているのですが、ああいう悪質な犯罪者に想像力なんか求めたって無駄でしょう。想像力がないからああいうことをするわけです。
 それはともかく、社説に想像力がない、特に五十嵐記者ら自身が担当する産経「主張」がそういう文章だという自覚があるのはいいことです。

【主張】原発活断層 リスクと利便折り合いを - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121029/plc12102903330006-n1.htm

 はい、同じ日の紙面に、色も綾も想像力もない「主張」が掲載されています。
 大飯原発活断層調査について《予断にとらわれることなく、公正かつ冷静な調査を期待したい》と、これだけ見れば当然なことを書いていますが、「予断」が何を指すのか、産経論説委員と読者の間に齟齬がありそうです。大飯原発が現在唯一の稼働中原発であること*1を踏まえてその維持を図ることを「予断」と表現しているのかと思いがちですが、どうも書いている方は、反原発の動きを「予断」扱いしていそうです。そのあとに、《〔活断層か否かの判断で〕安全優先の立場から「灰色」を「黒」と判定し、原発を片端から廃炉に追い込むような硬直した判断の愚は、あってはならないことである》としているからです。ていうか、なんですかこの文章。安全優先でなければ、なんのための活断層調査なのでしょうか。《規制委には思慮深く、均衡のとれたリスク判断を求めたい》という結びも、これだけ読めばもっともらしいのですが、「リスク判断」が原発稼働ありきのものであってはならないのはもちろんです。原発直下で活断層が動き地震が起きたらどうなるか、色と綾どころではない、あたりまえの想像力もないのが産経「主張」です。

*1:ピーク時だけじゃなかったんですかね?