黙然日記(廃墟)

はてなダイアリー・黙然日記のミラーです。更新はありません。

たかが産経。

 ネタがないのも困りますが、あるときはいくらでもあって困ります。実際には日付が替わってから書いた、21日分です。

産経抄】7月21日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120721/trd12072103130001-n1.htm

 すでにvanacoralさんもツッコミを入れていますが*1坂本龍一氏の「たかが電気」発言は、かつて「産経抄」が絶賛した「たかが経済」発言を思い起こさせます。節電に協力するのと、経済全体を憲法改悪と比較してdisるのとでは、スケールが大きく違いますが。わたしは東電管内に住んでいますが、昨年の厳しい節電に較べたら今年は原発ゼロでもよほど快適な暮らしを送れています。
 しかし「産経抄」は「たかが電気」発言がよほど気にくわないらしく、架空の人物をでっち上げて坂本氏の言動をなぞらせ、《おしゃれな文化人》とやらを揶揄しています。やっていることの意味がまったくわかりません。あきらかに坂本氏を揶揄していても、《架空の人物》としておけば抗議を免れるとでも思っているのでしょうか。これで名誉毀損的な記述があれば、普通に訴訟で負けるレベルですよ。

【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 性戯弄、性醜行、性奴隷… - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120721/kor12072103110003-n1.htm

 黒田勝弘記者は以前*2にも「性戯弄(セクハラ)」などの韓国語に難癖を付けていましたが、いまだに認識が改まっていないようです。前回と同じことを繰り返しますが、sex workerを「性労働者」と訳すのは当たり前ですし、セックスワーカーの権利確立は国際的な潮流です。日本軍のいわゆる従軍慰安婦が英語ではsex slaveと表現され(これも当然「性奴隷」と訳されるべきです)、軍による性犯罪というくくりのなかで批判されていることも、国際的な事実です。古希を過ぎた黒田大記者には刺激的すぎる表現なのかもしれない、と思うと多少同情はできますが、ならばそろそろ世間に追いついていけなくなっていることを認識するべきではないでしょうか。

菅前首相、脱原発で“脱反省” 「事故人災」棚上げで政権批判+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120720/stt12072021260011-n1.htm

 産経政治部(この記事は水内茂幸記者)による菅直人氏への口汚いバッシングは、いまだに続いています。客観的に見て影響力をほぼ失っている人なのですから(民主党内でも、民主党そのものも)、なんでここまで粘着するのか、わけがわかりません。産経政治部にとって、「首相経験者の一人」というのは、現役首相に匹敵するほどの存在感があるのでしょうか。
 国会事故調の「事故は人災だった」という結論と、菅首相(当時)の過剰介入への批判は別の文脈なはずですが、それを無視した印象操作も延々と続いています。嘘も百回言えば何とやら、というのも、産経政治部の信条のようです。

【解答乱麻】ジャーナリスト・細川珠生 いじめには厳罰も必要+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120721/edc12072107330000-n1.htm

 文章がアレで、なにが言いたいんだかさっぱりわかりません。たとえば、文脈としていじめを指すと思われる部分に《友達を懲らしめるような行為》とか。これでは、いじめている側が正義です。「懲らしめる」という言葉の意味を知らないのでしょうか。
 いじめというのは感情の隙間から生まれてくるもので、理性の働く余地がほとんどありません。感情が先走るとき、後先のことは考えないので、厳罰化も意味はありません。病的な万引きと同じで、カウンセリングなどの治療的な対応が必要なのです。なんでも「厳罰化」で対処できると思うのは、論者の理性が停止しているとさえ言えます。
 ここまで書いてきて思ったのですが、まさか細川氏は、いじめという行為が理性から発する「友達を懲らしめるような行為」だと思っているのではないでしょうね。教育問題を売りにする自称ジャーナリストで、こうして新聞の教育面に顔を出すような人が、まさかそれはないと思いますが。