黙然日記(廃墟)

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産経、破綻する。

【主張】小沢新党 破綻した政策もち出すな - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120712/stt12071203320003-n1.htm

 さて、小沢新党改め国民の生活が第一ですが*1民主党のかつての、そして現在でも有効であるはずのマニフェスト有権者との契約)である「国民の生活が第一」を受け継いでいると称しています。予算の全面的組み替えが(官僚の抵抗により)できなかったこと、また東日本大震災という未曾有の災禍があったことを差し引いても、民主党マニフェスト違反は責められるべきであり、その点において国民の生活が第一は支持し得ると、繰り返し述べておきます。(念のため、ここで「全面的に支持する」なんて一っ言も言っていませんので)。
 マニフェスト国民の生活が第一」に示された、たとえば子ども手当の満額支給や、「コンクリートから人へ」の予算全面組み替えは、まだ実行されていません。高校無償化のように一部が実行されたのみです。実行していないものが「破綻」しようがありません。その点で、この産経「主張」は、掲載時点で破綻しています。「国民の生活が第一」に掲げられた国民生活への大型公共投資を念頭に置いた諸政策、産経曰くのバラマキ政策は、財源面で行き詰まっている(本当は行き詰まっているのではなくなすすべを奪われているだけなのですが)ことを「主張」は指摘していますが、それは「やってみて失敗した」破綻とは意味が違います。たとえば諸政策のうち、実現された数少ない政策である高校無償化ですが、これはどこかで「破綻」しているでしょうか。なんの問題もなく、今日も高校生たちはいきいきと学び、明日の日本を作ろうとしているではないですか。
 極論を言えば、一時的にでも減税し、赤字国債を増やしてでも国民生活に投資することは、公共事業への投資と同じ効果があります。いわゆる上げ潮派の主張と同じであって、特に変わったことはありません。ただその対象となる公共投資を、「コンクリートから人へ」転換するというだけの話です。民主党がその方針を破棄したのは残念というより無惨というべきことですが、そういう政策を掲げる政党が一つや二つあってもよいはずです。

【政論】小沢氏、いっそ社民と合流を 鳩山氏は公私混同の擁護繰り返す+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120712/stt12071208070004-n1.htm

 というところで、阿比留瑠比記者の「政論」です。小沢一郎氏が民主党内の旧社会党グループと近かったことを念頭に、また福島瑞穂社民党党首が国民の生活が第一を真っ先に支持したことを踏まえ、「社民党と合流すれば」と皮肉を言っているつもりらしいですが、皮肉が皮肉になっていません。上記のように、国民の生活が第一の(現時点での)政策は社会民主主義的なものであり、社民党との接近はなんらおかしな話ではありません。政界を敵味方に区別し、「敵」の発言や行動はつまらないことまでよぉく記憶している阿比留記者ですが(それでアルファブロガー(笑)を受賞したんでしたね)、これはらしくありません。というより、意識がトリビアルなところに向かいすぎて、全体の流れを読むことを忘れているんでしょうかね。

*1:作品名、コラムの題名等以外の固有名詞をいちいちカギ括弧に入れない方針なのですが、カギ括弧に入れないと読みづらい党名だなあ……。早く適当な略称を決めてほしいものです。