黙然日記(廃墟)

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産経野口記者の憲法前文認識。他。

野口裕之の安全保障読本】「北頼み」と訣別せよ+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120415/plc12041520250008-n1.htm

 日本国憲法前文《平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、安全と生存を保持しようと決意した》の「諸国民」に、北朝鮮が含まれないことについて、野口裕之記者とわたしの認識が一致したので驚きました。そもそも国民の意思を反映する国家体制ではないので「国民」と表現していることからも含まれないのは明らかですが、それ以前にこの文章は、素直に読めば「ファシズム全体主義を憎み平和を愛する人々」つまり当時の連合国側を意味すると解釈されるものです。もちろんここには、大日本帝国ファシズムも含まれます。野口記者がそこまで理解してこの文章を書いたとは思えませんが。
 以下は、北朝鮮の軍事行動に対し日本がどのような軍事行動で対応し“普通の国”になってきたかを並べ立てています。平成何年、とだけで西暦の表記がないので、まるでぴんと来ません。内輪のサークルにだけ読ませる文章ですね。その中で、えーと西暦2009年の岡田克也外相(当時)による「PAC3の有効性について国民への説明が必要だ」という発言を、まるで忌まわしいものかのように取り上げています。どんな民主主義国家だって、軍備に限らずあらゆる予算の必要性を国民に理解していただくのはあたりまえの話で、それをやらないのが憎むべきファシズム先軍政治です。「軍のやることにいちいち口を出すな」という態度が大日本帝国を破滅させ、北朝鮮を破滅させつつあることを、まさかこれだけ“軍事史に詳しい”野口記者が、知らないわけはないでしょう。09年、また今回のPAC3配備にしても、宇宙空間から落下してくる、ほんのわずかな初期条件の違いで大きく矛先が変わってくる弾道ミサイルの破片から、射程わずか20kmのPAC3でどうやってまんべんなく国土を守るのか、まともな説明がされていません。首都圏、特に市ヶ谷に配備したことなど、まともに考えれば噴飯もので、パフォーマンス以外の何物でもありませんでした。20km圏っつったらあーた、それこそ市ヶ谷から朝霞付近までですよ。
 北朝鮮の軍事圧力に対応して防衛力(予算)を整備するのではなく(しかしPKOは関係ねーだろう)、先んじて増やさねばならないと野口記者は説くわけですが、世界一の巨大都市圏をどうやって守るのか本気で検討した形跡もなく、米国の言うなりにPAC3パトリオット愛国者)ミサイルを並べて悦に入るのが、北朝鮮の暴発に対してどのような意味があるのか、いちどじっくり説明してもらいたいものです。まともな文章で。

【主張】大飯原発 首相はもっと前面に出よ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120415/plc12041503100004-n1.htm

 官僚直結の野田佳彦政権は原発再稼働に向けて前のめりになっていますが、枝野幸男経済産業大臣が一人で突っ張っているように見えるのは、これはひいき目でしょうか。「閣僚である以上、内閣として決めた方針には逆らえない」ということを以前の内閣でもたびたび口にしていたので、今回も再稼働に向けた地元への説得役を引き受けていますが、一方で「原発ゼロに」という(やや不規則な)発言もたびたびしています。枝野氏はもともと、脱原発方針を明確にした菅直人内閣の官房長官だったわけで、説得役には不向きではないのでしょうか。なんのために野田首相が枝野氏を経産相に任命したのかも謎で、彼の役割は官僚を押さえ込むこと以外には考えられないのですが、このへんはちょっと理解しかねるところではあります。前任者の急な辞任で、やむをえず人気者の枝野氏を起用した、という解釈もできますが。
 産経「主張」についてですが、以前から繰り返し、「首相自ら大飯原発再稼働に地元を説得せよ」と唱えています。普天間問題でもしばしば同じことを繰り返していました。普天間問題については、クリティカルな基地問題は現在一箇所だけなのでそれもいいのですが、原発再稼働への地元説明はこの先何カ所も控えています。そのたびにいちいち首相に動けというのでしょうかね。あと、首相が行ってもだめなもんはだめ、嫌なもんは嫌ですから。