黙然日記(廃墟)

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産経抄、ましに見える。他。

産経抄】1月19日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120119/art12011903250000-n1.htm

 芥川賞直木賞受賞会見のようすをネタにしています。今回はなんといっても田中慎弥氏の会見が注目を集めましたが、葉室麟氏の発言も紹介してバランスをとっています。田中氏の、石原慎太郎都知事芥川賞選考委員をおちょくった発言を引用しながら、政治的な方向へは行っていないのも、「産経抄」としては珍しく抑制がきいています。棋士にとってのプロ合格は、小説家においては受賞より雑誌などでのデビューが相当するだろうと思いますが、問題というとそのぐらいでしょうか。

【甘口辛口】芥川賞の田中氏、もう少し神経を使っては… - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/120119/ent12011909530009-n1.htm
「「もらってやる」 一体この人は何様なのか」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/celebrity/542588/

 見出しのニュアンスを比較するため二つ並べましたが、本文は同じなのでご注意ください。産経新聞の「産経抄」に当たる、サンケイスポーツ(サンスポ)の「甘口辛口」です。もう産経新聞SANKEI EXPRESSだけで手一杯で、質が落ちることはわかっているサンスポや夕刊フジの記事は基本的に取り上げないことにしているのですが、たまたまiza!の方で見出しに引っかかり、読んでみたらこれがひどいのなんの、「産経抄」がまともに見えるという代物だったので、つい貼り付けてしまいました。こちらは署名入りで、サンスポウォッチャーにはおそらくおなじみの、今村忠記者によるものです。
 いったいいつごろから、小説家に社会的常識が求められるようになったのでしょうか。求められるものだとしても、記者会見の受け答えひとつで、ここまで罵倒されるものなのでしょうか。単に今村記者が、田中氏の会見に不快感を覚えただけ、としか見えないのは、わたしだけでしょうか。それへの共感を読者に求めているところも、みみっちさを露呈しています。《私憤は別の所で晴らすべきだった》と勝手に決めつけていますが、最大に注目される場で晴らしてこその鬱憤です。
 芥川賞なんて、文壇の内輪褒め、せいぜい読書家へのガイドラインにしかならないものです。それをあたかも国民的関心事のように取り上げ、受賞者に品行方正を求める醜いマスコミの姿を嘲笑する、優れて文学的な記者会見だったとわたしは受け止めました。そういうことも理解できそうにない今村記者が、そのマスコミの代表であることはいうまでもありません。
 田中氏の会見についいては、こんな話もあります。(via 産経抄ファンクラブスレ)

芥川賞】「都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」 田中慎弥さんの受賞会見+(2/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120117/art12011723490012-n2.htm
――田中さんは「自分は働いたことがない、働いたら負けだ」と以前話していましたが、いま仕事の見つからないニートの方に一言あれば

田中慎弥さん:5回目の候補で芥川賞受賞 「私がもらって当然」 - MANTANWEB(まんたんウェブ
http://mantan-web.jp/2012/01/17/20120117dog00m200063000c.html
−−田中さんは働いた経験がないということが話題になっているが、ネットでは「働いたら負け」という言葉もあるが、そんなニートの若者に対して。

芥川賞 田中慎弥 記者会見 ‐ ニコニコ動画(原宿)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16721691
〔3:30付近〕

 産経の記者には、聞こえない発言が聞こえるようです。

「ネット介入」か「エンタメ保護」か 米業界対立 規制本案に英語版ウィキ24時間スト+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120119/amr12011910520004-n1.htm

 どのwikiですか? Wikipediaを"wiki"と略すのは、産経新聞を「新聞」と略すようなものです。「新聞が部数激減」とか「新聞がまた捏造」とか、産経は紙面に載せるんですか? 

【正論】弁護士、衆議院議員稲田朋美 増税の前にやるべきことがある+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120119/plc12011903270004-n1.htm

 自民党のバラマキ政策の責任を認めているのは結構なのですが、議員歳費を5割削減せよというところで、おかしなことを言っています。《〔政治家は〕収入が少ないからなりたくないなどと言う人になってもらう必要はない》という、一見もっともらしい発言なのですが、根本的に間違っています。「収入が少ないから政治家になれない」という人にこそ、政治家になってもらうべきなのです。稲田氏が自らの肩書きで誇示しているように、政治家を辞めても(辞めざるを得なくなっても)、高収入職の代表である民事弁護士の道が残っているのなら、上の発言はまことに無責任極まるものです。