黙然日記(廃墟)

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産経「正論」の不思議。

【正論】慶応大学教授・竹中平蔵 「TPP皆保険崩す」のまやかし+(1/3ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111201/fnc11120102530003-n1.htm

 小泉・竹中路線、というより竹中思想にぴったり合致するTPPですから、竹中氏がなんとしても推進しようとするのは理解できます。しかしいろいろと、不思議な部分が多い文章です。
 《事実関係を確認しておこう。TPPは、交渉参加が当然であり、日本にはこれ以外の選択はあり得ない》。いきなりこれです。これが《事実関係》なのですから、竹中氏の現実認識はおよそ不思議なものと言わざるを得ません。《大新聞の社説はほぼすべて参加に賛成》だから交渉参加するのが当然、というのは、一種の思考放棄ではないでしょうか。竹中氏のメディアリテラシーはどのようなものなのか、およそ不思議なものと言わざるを得ません。
 TPP交渉参加にあたっての政府の不手際として、与党内の合意を求めて政治問題化させてしまったとしていますが、経済や社会に大きな影響を与える政策について、よほどの緊急事態でないかぎり、党内の意志決定に諮るのは当然です。竹中氏は、そのあと条約批准のときに議論すればいい、とでも思っているようですが、この人は本当に元国会議員なのでしょうか。不思議です。終わりの方で、自民党の心配だけしているのは、元自民党議員だからしかたないといえばそうですが、それにしても本当に、この「正論」欄には自民党関係者しか登場しませんね。たいへんに不思議です。
 国民皆保険制度を崩しかねない混合診療の問題について、小泉改革(笑)で一部導入されたが保険制度に影響はない、などとしていますが、一部導入の影響と全面導入の影響はまるで違います。この竹中「正論」はTPP議論の矮小化を憂えていますが、竹中氏自身が、議論の矮小化しているではないでしょうか。これもまた、不思議なところです。