黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の競争観。

 他人様のネタだけで今日のエントリは終わりというわけにもいかないし、かといって「産経抄」はいまいちまともなので(根本的に誤った日本語)、「主張」でも読んでみましょう。

【主張】全国学力テスト 直ちに「全員参加」に戻せ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111024/edc11102402110001-n1.htm

 キタコレ。ほんと、ネタに事欠かない新聞ですね。
 学習の成果を見るなら普通の定期試験・実力試験で十分です。全国横一線で全員試験をし、しかもその結果を公表することに、競争以外の意味があるでしょうか。市場原理万能主義なのでしょうが、市場原理は、売り手と買い手の完全に自由な選択が根本的な前提となっています。地域に制約される公教育に――「隣の県のほうが成績がいいからうちの子を通わせなきゃ」と6歳の子どもに県境を越えさせる親が、どれだけいるでしょうか――競争原理は当てはまらないのです。原理とか法則というのはそうした前提による制約があるものです。たとえばニュートン力学は、現在すべての物理学者が認めている、一般的に正しいとみなされる法則です。世間で思われているように、アインシュタインによって否定されたわけではありません。ただ、「光速の制限による影響が十分に無視できるほど小さい場合」という前提条件がついただけです。前提条件から外れれば(光速に近づけば)、新たな理論が必要とされるのです。
 そもそも産経「主張」自身が実際の市場経済をろくわかっていなのに、口先だけの「市場経済万歳、競争原理万能」と唱えていること自体が、チャンチャラおかしいと言うべきでしょう。そんなに競争原理万能説ならば、円高容認の論陣でも張ってみたらどうですか。