黙然日記(廃墟)

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産経、ついに認める。

 辛亥革命百周年と江沢民氏のご健康を心よりお慶び申し上げます

辛亥革命100周年記念大会 胡主席が重要演説 江沢民氏が登場+(1/2ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111009/chn11100915040004-n1.htm
 江氏は今年7月1日の共産党創設90周年祝賀大会に欠席したことなどから、一部メディアは「死去した」と報じ、国営新華社通信がそれを否定するなど情報が錯綜(さくそう)していた。

【おわび】「江沢民前中国国家主席死去」の報道について - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111009/chn11100915050005-n1.htmウェブ魚拓

 アジアの近代化という意味において大きなマイルストーンとなった辛亥革命は……え、そっちじゃない?(笑)
 上の記事は中国総局(北京)の名物記者・川越一氏によるものです。もし現場で取材していたなら、江氏が登場した瞬間の彼の心境はどんなものだったのでしょう。しかしだからといって、≪一部メディア≫はないでしょう。自分たちの過ちの責任を厳しく反省してほしいものです。
 というわけで、7月7日の産経新聞による「江沢民氏死去」の速報および号外は歴史的誤報だったということが確定したわけです。ニュースそのものは実はたいして大きくなく、とっくに引退して影響力もなくしていたご隠居が、という話です。それを号外(電子版)まで出すほど大騒ぎしたのは、産経が独自ルートで確実な証拠を握り、他社にない特ダネだと確信していたからでしょう。それがこの体たらくです。
 実は産経の“特ダネ”は、「江沢民氏が脳死状態になった」というものでした。正直、これはわからないぞ、とわたしは思っていました。「脳死は人の死ではない」と(国内のほかのケースを無視して)中国当局が言い張ることは可能ですし、いずれにしろ危篤状態だったことは確かのようですから、意識不明状態が継続して心臓死にいたる可能性は高かったわけです。そうなると、どの時点で「死去」していたのかは、藪の中ということになりかねなかったわけです。しかし今日のニュース動画で江氏の姿を見ると、3箇月前まで危篤状態だったとは思えないような元気な様子で、驚くべき回復と言わねばなりません。心臓死していなかったのはもちろん、脳死あるいはそれに近い状態だったということさえ考えられません。
 さてこうなると、産経が独自ルートでつかんだ“特ダネ”とは、いったいなんだったのか、ということになります。香港ATVが同じ特ダネを流し、直後に撤回したのは、産経と同じルートから仕入れた情報を流してしまい、それから裏を取ったら間違いだとわかった、ということではないでしょうか。産経にしても、号外を出してしまってから24時間かそこらのうちには誤報だと理解していたでしょう(ウォッチャーは1時間以内に「またか」と思っていましたが)。それが、お詫び記事を出すまでに3箇月以上、しかも決定的な証拠が出てから(江氏が姿を現さなければおそらくそのままだった)という姿勢は、ジャーナリズムとして厳しく批判されるべきとこなです。
 まあとにかく、「誤報の号外」も近年例を見なければ、それが覆った大逆転ぶりも鮮やかで、まれに見る祭りだったといえるでしょうね。