黙然日記(廃墟)

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産経抄の難民観。

産経抄】9月15日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110915/plc11091502450000-n1.htm

 「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」は正確には「パンがなければブリオッシュを食べればいいのに」、現代日本に意訳すると「フランスパンがなければ菓子パンを食べればいいのに」といったところのようです。さらにこれが、西晋恵帝(在位西暦290-306)の「米がなければなぜ肉粥を食べないのか」という発言を換骨奪胎したものであることは言うまでもありません。
 かといってマリーやルイ16世が名統治者だったというわけでもなく、それは同じくジャガイモ栽培を導入した金正日総書記が、自らの失政を糊塗するためにやっているのと同じことでしょう。というわけで前半から北朝鮮の話に持っていくところまではいいのですが、その先がひどい。フランス大革命のような民衆の叛乱や、より現実的には軍によるクーデターが起きた場合、大量の難民が日本海に漕ぎ出し、韓国だけでなく今回のように日本に漂着してくることが考えられます。それに対して≪日本海沿岸の警備強化は、喫緊の課題≫≪木造船をレーダーで捉えるのは難しい、といった言い訳は聞きたくない≫とは、どういう意味でしょうか。押し寄せる難民船に銃を向けろ、という意味ですか。おそらく「難民を偽装した工作員がまぎれこむ」といったことを省略しているのだろうと思いますが、クーデターの最中にそんなことをしている余裕はないでしょう。一般の難民に対するまともな対策をんかが得る前にこんなことを(前提を述べることも忘れて)言い出すのは、どう考えても異常な発想です。脱北者を英雄と考える視点すらない視野の狭さ、半島統一への無関心さは、あまりにもお花畑と指摘せざるを得ません。