黙然日記(廃墟)

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産経「正論」の笑いどころ。他。

産経抄】8月26日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110826/plc11082602440003-n1.htm

 村上龍氏の近未来小説『半島を出よ』(ISBN:9784344007598)が領土問題に関する予言的な内容だと褒め称えているのですが、≪村上さんは、民主党政権が誕生して2年後の日本をこんなふうに描く≫など(実際には2011年が舞台というだけ)、極端に歪曲した紹介になっています。こういう筆者に教科書採択の≪明るいニュース≫(もちろん育鵬社自由社教科書採択のこと)などと言われても、「どうせ写真の選択から年表の盗用まで間違いだらけなのに」と思ってしまうしかありません。

【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 現れた国民派VS.市民派の対立+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110826/dst11082602460001-n1.htm

 はい、いきなり≪わが国全国紙≫の中に東京新聞を含めている、あいかわらず古田クオリティとしか言いようのない文章です。
 ≪市民派≫と≪国民派≫という仮想的な対立を作り、全国紙では朝日、毎日、それに東京新聞(笑)が属する市民派について論考しているのですが、それ自体は一部を除いて真っ当に見えます。おや、古田氏なのにどういうことだ、と思っていると、その先にオチがあります。国民派の自分がまとめた内容に市民派は反発するだろう、と、このレベルで事実誤認をやらかしているのです。笑いの提供を常に忘れない人ですね。
 ≪欧米先進諸国では、社会民主主義は1990年代にすでに終わったと認識≫しているのは、いったい誰なのでしょうか。ソ連社会主義の終焉を受けて、むしろ90年代から社会民主主義が興隆してきたというのが、≪市民派≫のわたしの認識です。リーマン・ショックで左派が敗北したという認識もほとんど根拠がなく、不況対策に多額の公共事業費投入という対策が行われそれが唯一の成果を生んだことは、むしろ新自由主義の敗北を意味していたはずです。
 日本型市民派である民主党政権に改革ができるかという疑問はもっともですが、既得権益層の子弟がその足を引っ張るというのなら、その層の塊である自民党みんなの党にはなおさら「改革」は不可能でしょう。≪市民派≫を理解したうえで批判しているつもりの古田氏自身が、いつものように何も理解できていないという、ここが最大の笑いどころでしょうか。