黙然日記(廃墟)

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産経抄の松下塾観。

産経抄】8月24日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110824/stt11082403190003-n1.htm

 松下村塾出身の伊藤博文を≪師の教えを守り、身命をなげうって≫と絶賛しているのですが、はたして吉田松陰は、朝鮮を植民地にしろと教えたのでしょうか*1
 さて本題は、松下政経塾のほうです。わたしもどちらかといえば、政経塾出身者には冷ややかな視線を送るほうです。なぜ彼らは、たとえば経済政策で新自由主義(というより財界に都合のいい政策)を信奉する共通点があるのは理解できるのですが、国旗国歌や歴史認識についてまで似たような姿勢を示すことが多いのでしょうか。そういうことを教える塾なんですかね? ただいずれにしても、村塾出身者がそうであったように政経塾出身者も一枚岩ではないし個性はそれぞれあり、また評価できる点も少なからずあるので、そのあたりは公正に見なければならないと思います。
 「産経抄」は松下翁と塾生の「まず金権政治家になるのでは意味がない」という会話を引いて、≪まず首相になる、という考えも同じく間違っている≫と切って捨てています。しかしこの会話は、松下翁や塾の方針として、金権政治家を泥棒と同じように考えしいたというエピソードであって、政治家全体を泥棒扱いしたものではありません。「まず首相に」というのも、言葉が似ているだけで、論理としては引用された会話とまったく関係ないものです。この部分以後も、前原誠司氏の献金問題、民主党幹部の≪不可解な関係≫、≪危機を克服する道筋≫などが、一見関係ありそうに文章として並べられているものの、よく読むと論理的なつながりがまったくないまま散在しているだけです。前原氏に何をやらせたいのか、民主党代表(=首相)になることに賛成なのかどうかすらわかりません。実に見事な悪文というほかないでしょう。
 もっとも、あれだけ「菅直人氏以外なら誰でもいい」と合唱しておいて、いまさら誰が出てきても、文句は言えないでしょうけどね。

*1:どうもわたしには松陰というとアジア主義というイメージがあって、当時から貿易港として栄えていたシンガポールを恋しがったりしていたような印象があるのですが違いましたたっけ。マカオに着いたのは別人だったよな。