黙然日記(廃墟)

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産経抄の一斗観。

産経抄】8月17日 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110817/crm11081702470004-n1.htm

 残忍な事件に一斗缶が使われたといって、≪斗酒なお辞せず≫の李白を連想する抄子は、かなりどうかしていると思います。その連想を逆に並べ、いちおう飲食物で気持ちいい話をしたところで、残忍きわまる事件の話にいきなりつなげる神経も疑われます。想像力というものがないのか、ありすぎて飛躍してしまっているのか、なんなんでしょうか。事件そのものより、この人の神経にぞっとします。
 度量衡の単位は時代によって変遷があり、一般的に時代をくだるほど増えていくものであることは、説明しなくていいのでしょうか。現代日本の1斗は約18リットルですが、唐代中国においては1斗=5.94リットルであったことは、説明があってもいいでしょう。当時の醸造技術ではおそらくアルコール度数も低かったので、たとえば「1日がかりで缶ビール17本を飲んだ」という話であれば、不可能ではない気がします(それにしても倍ぐらいは鯖を読んでいそうですが)。李白が斗酒を飲んだというのが必ずしも≪「白髪三千丈」の類い≫ではないことは、江戸時代ならともかく現代人としては知っておくべき常識でしょう。あとこの抄子は、そもそも「白髪三千丈」が李白本人の作であることを知っているのかも、疑問に思われます。